2024.10.04 05:05シングルジャージ。業歴も長く、よく勉強されていて知識もしっかりあるのに、わからない領域に対して知らないことを知って質問できる人を、僕は尊敬する。このブログでも何度か取り上げているが、最近は生地問屋様リスクの生地名に関して、組織名が定義から外れて久しい。もうそんなん雰囲気で良くない?的な空気さえある。雰囲気でやるなら、もっと大きくそれてほしい。例えば『一雫の涙』とか、もっとポエミーな、もう意味全然わからん某『最もナウ...
2024.09.12 09:22蛙。『井の中の蛙大海を知らず』とは一般的に視野の狭さを嘆くイメージがついている。その先に『されど空の深さを知る』という続きがあり、一つのことを突き詰めることで辿り着けない境地があるという前向きな説があるらしいが、それは荘子の原典にないことから色々な憶測がある。『茹でガエル』なども、知らぬ間にダメになるぞと警鐘を鳴らす慣用句的なイメージがあるが、蛙は実際熱くなる前に飛び出すそうだ。さて、いつだったかのヤ...
2024.06.18 09:10『だけ』では弱い。先週から生地作りに関わる現場の人たちが来てくださって、あーだこーだと生地作り談義をした延長で、色々感じてしまった。奈良に在わす僕にとって業界でのじいちゃんは、いわゆる技術屋で柄作りのための機械いじりは得意中の得意。現場に行けば色々と組織図交えてカムを開けて針の動きと共に糸がどうなったらどういう柄になるか教えてくれる。そんなじいちゃんと先週話してた時にひとしきり盛り上がったあと「今は一個生地買うても...
2024.03.27 02:10ドラマチックな裏側。その昔、丸編み生地製造工場にいた頃、お客様である生地問屋様は僕に向かって言った「売れる生地持ってこい」と。売れる生地という意味には色々含まれると思うが、当時工場営業だった僕は「自社編み機がたくさん回る生地=相対的に売れてる」だったので、数が見込める素材というのが問屋様の意味するところだったかと記憶している。別注素材が飯のタネだったと言いたいところだが、生産現場にとって、当時の(おそらく今も)ご飯は...
2023.06.08 04:55誰得。何度かこのブログでも触れている内容ではあるが、記事累積もそこそこになってきて自分でも拾えないので、改めて。僕個人としては、繊維の世界における各社独自開発の技術や素材は、提案を受ける度に身体中の穴からなんか汁が出るくらい興奮するし、素晴らしいと思う。それこそ、差別化しないと埋もれてしまう群雄割拠の戦場である。誰でもできることなら値段が安い方に仕事が流れてしまうのは世の常。それ自体、誰を責めるものでも...
2023.03.02 07:57表現。生産のお手伝いの中で、商品説明を求められるようになって久しい。生地の特徴なんかを書くことが多いのだが、低学歴の僕にとって簡潔に商品の良さを引き出す語彙を持ち合わせていないので非常に難易度が高い。『なぜそうなのか』と言う部分が大変理屈っぽくなりがちなので、だいたい長い。でもそこを理解してもらえないと他と何が違うのかが明確にならなかったり、熱意がこう、なんつーか、足りない感じがしてしまう。少々めんどく...
2022.12.12 07:33無いもんは無い。作れば余るし、減らせば足りない。需給バランスというのはいつだって難しいものだ。コロナ禍に見舞われる以前から、在庫商売自体は総じて縮小傾向にあった原材料の世界。僕が繊維戦士になった頃はそれはそれは糸なんかしゃべったもんがちで、規模の経済でコスト圧縮から他所より潤沢にかつ安価で供給できるのが勝ち筋であったのはもういつの頃だったか記憶が薄れるほど遠い昔になってしまったというくらい、自分も歳をとったもので...
2022.03.22 10:23相場。繊維製造は諸々の相場の影響を受けやすい。まぁどの産業でもそうか。国内綿糸相場は今、とんでも高騰を見せている。綿花相場は過去に2011年の謎スパイク(投機マネーゲーム)の急暴騰からの急下落を経験する。じわじわと押し上げ、下げる見込みがなく100セント近くなると慌てて買いに走ってその値段を押し上げ、結果的に200セントをつける大相場となった。その後直滑降で平時水準より若干高いところで落ち着いた。200...
2022.03.16 03:16編み組織の定義。丸編み生地製造の仕事をしてそれなりの年数が経った。積み重ねるくらいしか取り柄のない僕でも、積み重なったものが少しずつ誰かの役に立っているという現実があるということは、喜ばしく思う日々である。その積み重ねを頼っていただく例として、「丸編み生地を教えて欲しい」というものがある。これは従事者にとって、お客様と現場の橋渡しに非常に重要な知識であるからして、向学心がある方々は大歓迎であり、業界の製造精度向上...
2022.03.04 06:57〇〇だから良いのか。生地提案の際、特徴を聞かれることが多くなって久しい。もうかれこれ10年くらい前から、生地提案とウンチクの説明はセットだ。大手問屋様の生地スワッチにも、提案色と一緒にその生地の特徴などが書かれていることが増えた。というより、書かれているものの方が多くなった。生地名も昔は『60/2コンパクトスピン天竺シルケットバイオ』のように、糸種→組織→付加加工名などで記載されていたが、最近は各社独自の名前を生地に...
2021.11.15 10:55常識じゃない。僕がインターネットを活用してこのブログ発信を始めたきっかけを思い出させてくれるような出来事が最近は日々、多く感じている。繊維業界に限らず、実務者は専門用語を話すことで意思疎通が図れる日常から、一歩外へ出てお客様と対峙した時には言葉が通じない現実を意識する必要がある。昔の僕もそういう壁は、工場の皆皆様に対して感じていたものだし、それが例え繊維業界内で『常識』だったとしても、業界入りたて当時の僕からす...
2021.09.15 04:57〇〇のようなもの。先日のブログで、他繊維に形状を模したことで風合い向上や価値向上につながる訴求が手段としてあることにちらっと触れた。特にポリエステルは金型や後加工で変化のバリエーションが多いから、リネンやウール、コットンに似せた『〇〇ライクポリエステル』なるものが結構ある。何を隠そう、僕も今きているスーツは『ウールライクポリエステル』の生地で作られたものである。