常識じゃない。
僕がインターネットを活用してこのブログ発信を始めたきっかけを思い出させてくれるような出来事が最近は日々、多く感じている。
繊維業界に限らず、実務者は専門用語を話すことで意思疎通が図れる日常から、一歩外へ出てお客様と対峙した時には言葉が通じない現実を意識する必要がある。
昔の僕もそういう壁は、工場の皆皆様に対して感じていたものだし、それが例え繊維業界内で『常識』だったとしても、業界入りたて当時の僕からすると「知らんもんわからんに決まっとる!」という反発感情になった体験から、せっかくなので身についた知識を皆様にとって有用に使っていただけるよう発信をしてきた、つもりだった。
編み物に限らず、繊維とは書いて字のごとく、繊細な維(いとすじ)であるので、その一本一本はかなり細く、ミリ以下、マイクロの世界であることが多い。その集合体を糸とし、織るなり編むなりするわけで、使用による摩擦や引っ掛けでその発端が集まり毛玉になってしまうというのは不可避である。
柔らかさと繊細さは、今のところ表裏一体なので、目立つ目立たないの差はあれど、一般衣料品で物理的に毛玉にならないということはあまりない。
これを回避したいのであれば、つるっシャリっとした硬い生地のものを選べば毛玉が可視化されるまでの時間は長い。逆に、ふわっモフッとした生地はマジで毛玉になっちゃう5秒前である。(広末のファンではない
また、生地の落ち感(ドレープと言ったりする)から服の形を作っていくときに、現行のスワッチ提案スタイルではイメージができないというのは、もう結構、相手がアパレルメーカーのプロだと思っていても、最近はなんというか、デフォだ。だから「生地提案して」って時に集めるスワッチは、もうほんとヒアリングを繰り返して精度を高めて絞った後に、ピックアップされたものを筒縫いしてある程度服に近い状態にして見せることも少なくない。
これを企画側のレベルダウンだと嘆くことで終わればそれまでなんだけど、最近書いたブログでもあるように、もうデフォなので『そこまでしなくちゃいけない』というより、『そこで初めて』テーブルに乗ると考えてお客様と向かい合うくらいが良いかと感じている。
すっかり便利屋になってしまったOEMメーカーは、一方で中間業者の搾取と悪者扱いされる場面もあるが、ちゃんとやってるところは割と生地屋さんや縫製工場さんとお客さんをしっかりと橋渡ししているの。あんまいじめないで(僕らのことを
ま、ほんといらんのも、おるけどな。
さておき、どの場面でも繊維業界に限らず、一般消費のレベルでも(僕も含めて)想像力を働かせるというところが少し足りなくなったなと感じる一方で、せっかく持ってる想像力を活かすように、こちらももっと啓蒙せなあかんなと痛感している日々である。
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