家着に求められること。

在宅ワークもインフラが整えば苦はなさそうで、我々のような生地の風合いを触ってもらってはじめて伝わるような仕事も変革期なのかもしれないけれど、とりあえず触ってもらったら(良い意味で)驚いてもらえるような生地づくりを粛々とやって参りたいところ。

今後生地業界に求められるであろう、いや、既に求められているし、これからもっと明確なメリットを訴求できるような『家着』にぴったりな生地はいったいどんなだろうと、考えているところである。
かく言う僕も、緊急事態宣言後は、子供も学校や幼稚園に行けなかったりで、仕事を家でやりつつ、合間に公園で砂場遊びやかくれんぼ、鬼ごっこに忙しい。そして、家に戻れば、ZOOMなどのオンラインミーティングもあったり、とにかく、休みの日にボケッとする時に着るスウェットの上下とかヨレヨレのTシャツとか、そういうだらしない格好ではいられないわけで。

でも砂場遊びやおにごっこの時に、普段仕事に行く時のようなおしゃれ着を決め込むわけにもいかず。やっぱちょっとシュッとしたジャージ系や、アウトドアブランドのシティウェアあたり最強説が自分の中で芽生えつつ、そんなにたくさんその辺の種類も持ち合わせていないし、結果一日置きにほぼ同じ格好を、この二週間はしている僕。なんつーか、飽きてくるし、ファッションが自分に与えてくれるエネルギーみたいなのが、足りない。そう、メリハリがつけられない僕は弱い人間なんだろうか。

長い前置きはこの辺にして、今回のウィルスのこともあって、生地に抗病原体の何かしらが施されているものが注目を集めている。僕が今鋭意作ってるマスク(ulclomask)も生地に制菌(雑菌を減らす)作用がある加工をしているし、さらにこの作用に対洗濯性(洗っても効果が続く)も必要になってくる。
今僕が作ってる生地に付与している制菌加工は、試験で100回洗濯しても効果が続くというものを使っている。が、機能が対洗濯性に優れていても、生地自体がダメになっちゃったら、外で着るのが難しくなってしまう。
本当は「あまり洗わなくても雑菌を減らしてくれるから衣類の清潔感が保てますよ〜」ってのが売りの加工なんだけど、人は服を着たら洗濯をしてしまう生き物だ。だから加工だけじゃなく、生地そのものが対洗濯性がないといけないのだ。

生地が洗濯に強いかどうかというのは、カットソー業界にとっては常につきまとっている問題だ。まず縮む。これはまた伸びるから、プラマイゼロって言いたい。が、今回は縮率の話ではない。生地の見た目の綺麗さが続くかどうかという点において、対洗濯性があるかどうかを考えていこうではないか。

やはり、洗濯していくと短繊維カットソー生地は毛羽立ってくる。これは一番わかりやすい見た目の劣化ではないかと思う。編み物用の糸は撚りが甘いから毛羽立ちやすいのだ。
これが結果毛玉になるのだから、見た目劣化要因ナンバーワンはお前だ。毛羽立ちよ。

じゃ、これを回避するにはどんな糸を使えば改善できるのか?
僕だったら、MVS(結束紡)やコンパクトスピンを使う。これらの詳しい説明を書くとゴールデンウィークが終わってしまうから割愛するが、簡単に言うと糸の表面に毛羽が出にくい構造になっている糸たちだ。

MVSは空紡(オープンエンド)や強撚のようにシャリっとした硬い風合いが特徴で、肌離れがよく、サラッとした着心地である。コンパクトスピンはツルッとした風合いで、僕の好みは完全にこっち派。しかし両者とも、毛羽が表面に乏しいので、いわゆる「やわらけぇ」ってのは期待できない。

次に生地のへたりが、だらしなさを倍増させる要因だ。襟元がだらしなく伸びた格好はもう、家着でもイケてない。僕には耐えられない。
そう、だからキックバックを意識した生地づくりも大事になってくる。

なんか、前職晩年はこの辺の要素をもりこんだ生地企画をたくさんしてたきがする。自分が経験してきて、相手にちゃんと伝えられる要素がこの辺だ。

どっちもメンズちっくな内容だけど、家着2.0の訴求ポイントとしては抑えておきたいところではないだろうか。

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