20年後いらない存在(中間業編)
工場とアパレルメーカーを繋ぐ仕事、商社や生地問屋、縫製メーカー振り屋など、昔から糸偏の世界には中間業者がたくさんいる。
最近はエバーレーンやファクトリエなどが中間業の存在を無くすことで無駄なマージンをカットし原価率を高め、高クオリティを低価格で提供するという事で商品を作っている。
アパレルメーカーが工場と直接仕事をしていく上で、いくつか問題がある。
工場が有しているサンプルは、正直ダサいものが多い。
努力の跡は認めらるが、微妙に的を外してしまっていてセンスを感じられず、生地や技術は素晴らしいのにサンプルがダサくてピックアップされない残念なケース。
逆に多くの大手アパレルメーカーは今やただのセレクターなので、生地がどういう作り方をしたら思い通りのサンプルが作れるか?などの技術的知識がほぼ皆無なので、自分たちが欲しいと思う生地や技術を工場に感覚の部分まで伝えることができない。
例えばこの生地の写真、共に糸の番手も編地(組織は平編みで天竺という)は同じなのに、生地の目の立ち方(編み目が立体的か平坦か)や、糸質(綿の原料や紡績方法)が違うので、光沢や肌触りの質感が全く違うものである。
それを、「Tシャツ作るので綿の天竺を提案してほしい」と、工場へ伝えると工場の担当はアパレルメーカーやブランドの店頭研究なども疎かなので、天竺のサンプルをありったけ送ってくる。
アパレルの企画は山のようなサンプルを見るストレスから結局いい物があったかもしれないけどそのままスルーなんてこともある。
そこで中間業者の役割があったりする。
川下の感覚的ニーズを、技術的に理解して川上に伝え、分業化された製造業の組み合わせをマッチングして商品製作の精度を上げていく役割を担うのである。「〇〇ブランドさんは卸先が百貨店中心だから綺麗な目面が良いからハイゲージで度詰で編んだ天竺がいいな、素材は超長綿で斜行するといけないから双糸の糸づかいでシルケットしてあるとよりイメージに近い、そんなサンプルありますか?」って工場に言えば、サンプルは非常に絞って集めることができる。
ところが昨今の中間業者は一部のやれてる人達以外は全く以って"いるだけ"の 残念な人達が多い。
知識も大してなく、とにかく営業かけまくって得た仕事を同業他社に丸投げしてピンハネしていく。こういう人達は商品クオリティに問題がある物を納品するリスクが非常に高い。提案も工場のそれと大して変わらない。提案がザルだから何度も何度もやりとりをしなければならず、時間と労力は非常にかかっているが、そのほとんどは浪費で、本人はよく働いた気になっているが、仕事をお金に変える力は乏しい。これでは何のためにいるのかまったく理解ができない。
一部のやれてる人は先に言った通り、顧客の市場を研究しニーズを先読みして提案でき、感覚的要求を技術的に理解して工業指示がきちんとできる人である。
もちろん、工場間決済なども含めてファイナンスの部分を担ってるだけの人なら3-5%の利率で回しているので知識なくても、伝票の通しだけしていればいい。
この決済関係の問題もこの業界の闇がある。
それはまた別の時にまとめていきたいと思う。
市場調査などの努力をせずに工業技術の押売りになりがちな工場と、ロクな商品企画ができないアパレル、そのしょうもないつながりを無駄なキャッチボールで仕事した気になってる中間業者。みんな20年後いらない存在である。
というか、前も言ったけど、既に必要ない。
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