OEMはつらいよ。(お金の動きが)
OEM業がそれなりに長くなってくるとキャッシュも溜まってきて、周りの人から「もうかってるね〜」なんて言われ出して、まぁそんな気分にもなったりするときがある瞬間が年に一回くらいはある。
第四期決算を迎えて、例のウィルスの影響が無かったとは言えない3-4月の目減りを、なんとか黒字で着地出来そうな雰囲気で、少々胸をなで下ろしているところである。が、帳面上はそうでも、現金の動きはそれと同じとは限らない。
展示会で受発注をしている顧客さんがメインに多いので、うちのキャッシュフローはとんでもなく気長である。去年の8-9月あたりの展示会の量産納品が2-3月であって、入金は4-5月末といった具合である。情報収集や素材集め〜提案の流れがだいたい5-6月であって、そこから8-9月の展示会に向けてサンプルを作り出すから、もう一年がかりで一個のサイクルだ。それなりに物量もらわないと、正直いって仕事としては割りに合わない。
入金のタイミングだけ見ると、年2シーズンでオーダーが分かれているから、冬になる前と、夏になる前に、大きな入金の山がくる。逆にいうと、それ以外は単月赤字の月がほとんどだ。これは創業時に覚悟していたことだから、それに対しての準備はしている。
でもやっぱ数字見てると毎月安定してた方が精神衛生上良いので、期中対応をしている顧客さんも何軒かお取引させていただいている。期中対応は、展示会とかやらないで、ドンズバシーズンに短サイクルで供給するスタイルのところ。こういう先が継続的にそれなりの金額で続くと懐事情と心持ちは多少楽になる。が、世の中はそんなにうまくは出来ていない。不思議と、展示会先と納品時期が被ったりする。
そうなるとどうなるか?
予定より急に仕入れが立って、一気に財布が寂しくなる。
もちろん納品されたら売り上げとして債権が発生するから、帳面上は黒字化する。これを約束通り入金してくれるかどうかは、入金されるまでわからんのだ。ここで現金が底をついて会社の運転が出来なくなると、いわゆる黒字倒産てことになる。そうならないように、融資など受けて、現金をしっかり持っておく必要がある。
ここまでは普通のことなんだけど、今年は少し事情が違っていて、この二ヶ月は「納品をリスケして欲しい」とか、いきなり支払日に「今月払えません」とかっていう相談が、まぁ正直なくはなかった。
前述した通り、弊社は気長にやってきてるので、ここで入金なしとか、普通に死ぬ。これが、ドミノの始まりかと、正直言ってこの二週間近くは生きた心地がしなかったのが本音だ。もちろん払えないと相談してきた顧客さんだってつらい。ちゃんと誠意持って支払い計画も説明があったから今回は難を逃れそうだが、一抹の不安を拭いたい一心で、あまり乗り気では無かったが臨時融資を受ける決意をして行動をした。
まじ生きてるって感じがする。(おすすめはしない)
そう言えば前職時代、売り上げ落ち込んだ時に上司や経営陣から発破かけられても「世間が売れてねぇんだからしょーがねぇだろ」って噛み付いてた僕は、ありゃバカのやることだったなって心から反省してる。資金繰りやってみたら、二度とあんな悪態はつけない。
今回の緊急事態だって、抗えない物だけど、そのままで良いわけがない。こういう時こそ前職時代の教えが役立つ気がする。
前職時の考え方がこういう時に役立ってきそう。大小に限らずアパレルは可能な限り大手商社を通す/柱は太めを5-10本は常に用意しておく/キャッシュは常に多めに持っておく/など、商社売りは急にシフトは出来ないけど、このような事態が起きた時に、受注減は仕方ないが、回収ダメージは軽減できる。
— 山本 晴邦 (@HARUKUNI_Y) May 2, 2020
ね、ほんと。
前職は与信管理厳しすぎて、ほんとに嫌になってた時期もあったけど、母体がデカくなればなるほど、リスクはデカくなるんだから、当然と言えば当然の考え方だったな。
前にこんなの書いたけど、『緊急事態だから仕方ない』っつってお金払えなかったら、会社潰れるレベルの製造業多いからね、そんなレベルの会社は運営方法が間違ってるって言う人もいるかもしれないけど、零細工業なんて日銭稼ぐのに必死なんだから、経営とか言えるようなシロモノじゃない。まぁ中には経営間違ってるところもあるから、そういうところはこの機会にほっといても消えるだろうから置いておいて、仕入れ先さんたちは大切にしようなって話をしたかったんだけど、冒頭からだいぶズレたな。
つまり、OEMは普通にやってたら、あんまりもうかんないよ。工夫はちゃんとしよう。
あんまり僕がこんなこと言うべきじゃないって先輩経営者たちは言うんだけど、まだこれからも不透明さ極まりないし、無責任に楽観的なことも言えないし、根拠もない大丈夫だよなんて言える性格じゃないから、とりあえずリアルを備忘録として残しておく。自分が将来慢心しないためにも。
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