1/1,000枚でも、誰かにとってはかけがえのない一枚。

製品OEM業やるようになって、それなりにたくさんのお客さんを相手させていただき、厳しくも暖かいご指導のおかげで、完全ではないが、納品時にお客さんに満足してもらえるような取引が多くなった。

完璧な状態って、毎回そうだったらいいんだけど、なかなか難しくて、僕らの取り扱っているカットソーってやつは、同じ生地で同じ形を違うタイミングで作っても、同じように出来上がらなかったりするから厄介だ。

とは言え、依頼者からしたら、全く同じ条件の商品が、全く同じように出来上がらないなんて、理解に苦しむことだろう。このあたりは、書くとめっちゃ長くなるから簡潔に言うと、今日も明日も全く同じ日なんて人生の中でありえないということだ。意味不明。


とにかく、日々変わる天然繊維の育成環境や、季節による気温湿度の変化、そこへ確実に同じ動きを繰り返せない人間が手を加えた繊維製品が、全く同じ条件で作れていると言い切れる状態なんてありえない。

そんな繊維製品でも、依頼された状態に近づけるために、たくさんの人たちが協力してくれて作ってくれている。だから、納品でお客さんに喜んでもらえるのは本当に嬉しいものだ。

そしてそのお客さんのお客さん、つまりは一般購入してくれている人の中には、そのブランドの商品を買うために、もしかしたら一生懸命働いて貯めたお金で、やっとの思いで手にとってくれているかもしれない。


でもその手にした商品が、不良品だったらどうだろう。

お店に言って取り替えてもらえばいいって割り切ってくれる人ならまだいいけど、言い出せない人もいるだろう。不良品だとわかったら、少しそのブランドに対してがっかりしてしまうかもしれない。もしかしたら最悪は、そのブランドのことを嫌いになってしまうかもしれない。

そういう想像力を、もっと製造側の人たちにも持ってもらいたい。


先述の通り、作ってくれている人たちのたくさんの努力の結晶でその商品ができていることは、僕らは知ってる。でも1,000枚作ったら、一枚くらいは、不良品が検査の目を通り抜けて売り場に出てしまうかもしれない。もちろん悪気があって出るもんじゃない。みんなが良いものを作ろうとしてたまたま出てしまう不運の一枚だろう。

そんなわけだから、メーカーもあんま責めるような言い方で工場の人に言って欲しくない。


僕は間に立たせてもらっていて、そういう事故が起こった時に、双方が納得して解決できるように動く立場だ。双方に言い分があるのは重々承知している。事が起こった時、双方が感情的になってしまうと、売り言葉に買い言葉で事態は拗れる。

大切なのは、万が一のその不良品を最後に手にした人がどう感じたか、その人がこれからもそのブランドを好きでいてくれるか、もっと好きになってくれるにはどうしたらいいか。そこを真剣に考えていかないか。

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