まずは『WIN-WIN or NO DEAL』を目指す。

例えばアパレルに限らず、何か同じ商品やサービスを受ける時には『相見積もり』を取る事が当たり前になっている。Amazonやその他クチコミサービスの普及によって僕たち『利用する側』は、非対面にてその商品やサービスの体験価値を購入前に知る事ができるようになった。


大型家電量販店に行って、スマホの画面を見せて「ほら、こっちの方が安い」と言えば、その店は値引きするかそれ同等のポイントサービスを付加して自店舗で購入させるように仕向けるだろう。

引っ越し業者も、保険も、一括見積もり査定を引き受けるサービスがある。一般生活において、僕らは『相見積もり』や『値引き』をする事が普通になっている。

一般消費者レベルでこれだから、アパレルメーカーが特定の生地問屋から生地を仕入れた後に、縫製仕様書をチラつかせて工賃の相見積もり取る事自体は、いまさら嘆いても仕方のない事実だ。生地だって、メーカーが数社ぶら下がっていたら、どこが安いか相見積もりを取ることは平気でされる。


個人的には(そんなことしてくる輩は早めになくなってしまえ)と心の中では叫んではいるが、まぁこれを嘆いてももう仕方のないことだ。先方の事情を想像してみたら、その商品やサービスが同等のスペックであるならば『最安、最速』を選択すること自体はその会社からしたら、むしろ正義である。

だからこの現実を無理に変えることは、あまり意味がない。というか、無理だ。


これを解消するには、双方利益が出る答えを探し続けて納得の上で合意して進むか、やらないかだ。

顧客さんが自社でやるメリットを、自社の利益をきちんと出せる状態で提案して合意したら取り組みになる。

最初から「今回は泣きます」と言って本当に泣いてたら絶対にダメだ。相手次第だが、これが癖になってるから疲弊が進む。「泣きます」はパフォーマンスくらいにしておいて、ちゃんと利益出しなさい。本当に泣いてるのも気づかずに数字だけとってバンバン市場荒らして、後に大事故になってるやつ見てるともう辛い。それに慣れちゃった取引先はそれ以上の値段をその商品に払えないからお客さんにとっても非常に迷惑な話だ。

利己的な相手は、その人たちの商品を通してハッピーになる市場をもっていないので付き合う必要はない。勝手に自滅する様を、高みの見物と行こうじゃないか。瞬間的に伸び代があっても、苦しみ続けて最後には共倒れするのがオチだ。つまり無理強いを常にしてくる先とは商売しない勇気も必要なのだ。


お互いに気心知れて双方利益が出る取り組み先と長く商売していくと、先方の本音もきちんと出てくる。

例えば「本当は御社でやりたいんだけど、ここの分はどうしても値段が合わなくて・・・」など、この手の相談は、付き合いが深ければ、それが単なる値切りか、心苦しくもお願いしているのかは、声のトーンでわかる。この時に年間を通して取引が見込めている先にはちょっと無理してコストを合わせてあげることもできるだろう。そのやりとりが行く末に双方の利益になるのであれば、多少の無理は聞いてもバチは当たらない。

ところが、値切り相見積もりが常態化している会社だと、スポット商売でもとにかく値切ってくるし、すぐ「高い!」って言ってくる人がいる。

そういう人はきっとそれが仕事だし(会社の看板無しでは生き残れないと思うけど)、これに過剰に反応しても仕方ない、出来ないもんは出来ないと真っ正面から言ってやるのも優しさだ。


例えばコスト面やスケジュール面で、目下売り上げが欲しい人は、この手の無茶ぶりを受けちゃう。

受けた上で騒ぐ。「どっかないか?ハマるとこないか?」そこから運よくハマって無事納められたらラッキーだ。毎回これだと仕入先もしんどいし、単価を削られたり無理なスケジュールだと事故率も高い。でも、仕事を出す側は希望条件で受けてくれる先に仕事を出しやすい。だから無理しても取りに行く業者が増える。そうやって競争させられることに慣れてしまった。

その中から最適なサービスを提供できる仕組みが構築されていけば良かったが、あんまり賢い成長を我々の業界はしてこなかった。

紙面で某社が調子良さそうと聞けば、飛び込み売り込みに行く。そして数ある競合他社から抜きん出るために多少の無理を飲んで走る。するとそれが常態化する。そうやってお客さんを甘やかして来たのは他ならぬ僕ら工業なのではないか。


飛び込みで営業かけておいて「できません」って言うのは確かにかっこ悪い。でも双方価値を高め合える間で、それが適正な答えであれば、きっと商売は生まれる。

そう思ってもらえるように、常に自社のサービスや商品を高めていく努力を絶えずしていこうではないか。

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