なんかモヤモヤする。

工場系の方々の発信が増えてきて、製造に関わる人間としては心強くもあり、少々不安になる部分もあり、モヤモヤしてるので記しておこうかと。


「苦しいからなんとかして!」と言うだけでは何も変わらないよ。ということと、環境要因で苦しくなってるのはわかるけど、苦しさを脱却する行動はしたの?というところあたり。

対価として支払われる金額が値切られたり、安くみられるのは本当に嫌なことだ。仕事を否定された気持ちになる。これは痛いくらいわかる。

でも、時に、値切られるのは、一方的な理由だけでない場合もある。


なんと言うか、時代に合ってない。かもしれない。


先日、とあるブランドの生産担当者氏が、「もう工場さんを展示会に呼びたくないんだよね」と言っていた。

同氏が言うには「工場さんってさ、展示会場で上代見て自分の工賃の値段の話とか結構デカイ声でするんだよね。作ってもらってるから感謝はしてるんだけど、値段を比べてその場で値上げ交渉とかされるのも展示会場ではちょっとアレだし、プレス関係者とかも周りにいるから本当に困る。」だそうで、確かに該当工場さんはデリカシーに欠ける要素が垣間見える。

これは工業側によくある営業スタイルというか、そういう時代に成長した産業の歪みというか、ちょっとスマートじゃない。


あと、自社技術を他社品ときちんと比べてみたことがあるのかな?と思う工場もある。

「海外と比べたら単価では絶対勝てないよね」と言われるけど、単価で負けた上に、技術でも勝ってるかどうか怪しい工場もある。それに技術が高ければ単純に工賃が高くてもいいという理由も、もはや通りづらい現実がある。

現物が市場に出た時に受け入れられるクオリティと価格が、国内工場の思う『それ』とは乖離してしまっている現代に於いては、それを「評価してくれない」と嘆いたところで状況は好転しないので違う手を打つしかないのでは?と、僕は思っている。

もちろんこれに関しては依頼者側にも正当な評価をしてもらえるようなブランド作りを努力してもらいたいというのは言うまでも無いけど。そこばかり期待しているのはどうなのかと言う話である。


代替え方法などを提示して価格調整を行う交渉などをしている場合は前向きに動いていると思うけど、これだけではもう弱くて、技術がきちんと高い上に、他に頼る理由がある工場には、然るべき単価で、然るべき顧客さんから、然るべき仕事が来ている。これは紛れもない事実だ。そして、その工場はちゃんと儲かってる。工員も若く、エネルギッシュで、後継問題も何処吹く風だ。


工場は設備と時間と人、及びこれらの掛け算で提供される技術が経営資源なのは言うまでもない。人件費の上昇や、不当に工賃を下げようとする依頼者側のプレッシャーによって苦しい経営を強いられている工場が多いのも把握している。

だから工場側の人たちが声高に『日本の工場を守ろう!』とおっしゃっていることは、苦しんでいる工場諸兄には心強い声だろう。僕も頼もしく思う。


そもそも依頼者が状況を理解して取り組みをきちんと出来れば工場が苦しむことはなかった。それはごもっともだ。わかる。僕も工場営業だったから、大手の薄情なやり方には心から憤慨していた。

そしてそれは未だに僕の中にくすぶっていて、提案内容だけ取り上げられて実際生産は別の安いところなんてこともあったから信用なんて出来ないし、その根本体質が変わらない限りは、やっぱりずっと薄情なんだろうから、「付き合っている製造関係者は大変だろうな」って思ってる。

僕自身、出来ればそう言う組織とは関わりたくないと思ってる。だから、自分から売り込みには行かない。彼らは売り込みに来たら(もちろん皆が皆そうではないが)仕入先を下に見る。


でも、こうやってツッパってても、不思議と大きいところから話が舞い込んでくる。そして大体はこちらの要求条件で仕事になっている。これには僕と付き合ってくれている工場さん達も喜んでくれている。

ありがたいことに、お客さんに納得した単価で購入していただいて、仕入先さんへ納得した単価でお支払いさせてもらって、それなりに弊社も潤って、仕事を通して関わってくれているみなさんが元気になっているのは、めちゃくちゃ次へのエネルギーになる。


でも巷の工場の人たちは「苦しい苦しい」という声をあげている。

この違いはなんだろう。


このモヤモヤはなんだろう。


ちょっと思い当たる節がある工業諸兄は、少しは参考になると思うので読んでみてほしい。(宣伝かよ)

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