物理的トラブルは感情と切り離す。

トラブルは起こらない方が良いに決まってる。生産従事者なら誰もがそう願っている。

きっとお客さんにものっぴきならない事情が有ったのだろう、もっと余裕を持って依頼してくれたならとも思うが、かなりタイトなスケジュールの案件が飛んできた。


受けた時点で、起こりうる全ての責任は弊社にあるので、あーだこーだ言うつもりもない。ここからは全力で納品までひたすら段取りするだけだ。

スタート段階で生産可能なラインで調整し原料投入、途中何度か進捗確認をしながら状況を確認。

そして遂にここがデッドラインという日に連絡したら、「まだ糸」という、軽い事故が起きた。


要因としては、同社は編工場で、僕の依頼を受けてから生産の段取りを自社工場ではなく、外注したのだ。まぁこれ自体は別に問題ではない。問題なのは、その外注が外注してた時に、目が届きにくくなってしまうことだ。


実は工場が工場へ外注することは珍しいことじゃない。

むしろ、工場にぶら下がってる下請け工場もある。自動車の部品工場とかだと『孫請け』とか言ったりするけど、例えば編工場の場合は規模の違いだけで基本的には同業者だ。

で、今回はその元請け工場から、『振り屋』と呼ばれる小規模のお父ちゃんお母ちゃんだけでやってるような工場を取りまとめて振り回してる業者を仲介して下請け工場に仕事が飛んだ。


結果、状況が手元で把握できず、納期がきても「まだ糸」という事態になってしまった。

こういうことは産地が離れているから、直工場でも起こりがちだが、約束を守れなかった時にどういうカバーをしてくれるかで、後々事態が変わってくる。


生産は依頼物が期日通りに期待通りのクオリティで納品されるのが普通の仕事なので、この一連が当たり前にこなせないというのは、お客さんとしては頼りにくい仕入先になってしまう。

しかしどんなに実績が有って信頼を置ける先だとしてもトラブルは、たまに起こる。

この時にきちんと前向きに約束に近い状態へ向けてフォローし合うことができれば、信頼関係が大きく崩れることはない。


今回はこちらで立てた別枠の動きで僕のお客さんに迷惑をかけることなく、ことなきをえそうだが、本来依頼をかけていたルートで取り掛かっていた物が不要になることに対して、どうも下請けの仲介振り屋がごちゃごちゃ言っているらしく、元請けのメンツもあるので、今回不要になる仕掛品はこちらで最終的に引き取る約束をして収めた。僕からしたら要らん出費だ。

ところがこういうところを無慈悲に「要らんもんそっちで処理して」と、やってしまうと、つまらん人間関係のいざこざでつまらん噂を流されたりしてしまうので、自我を抑えて淡々と収めていく。金額的過不足は付き合いを長くしていけば埋め合わせなんていくらでもできる。


本来であれば、その振り屋が不便を詫びて改善策なり不要品の処理などを引き受けるのが筋だが、どうも製造工業の末端はこれを平然とこちらに押し付けてくる癖がある。

そして結構すぐ感情論になる。

こちらとしては、仕掛かっている間にケツをまくられるのが一番厄介で、お客さんに商品を届けられないことが最悪の状況なので、たとえその仕入先に不備が有っても、依頼したこちらの責任と割り切ってなんとか物にしてもらうように気配りしていくのが仕事だ。


設備的にどこにでもあるような機械なら、こんな苦労はせずに済むところだが、意外とレアな設備に限ってややこしいところにあったりするので、人間関係を穏やかに円満にしておくことも求められる。

10:0でこちらに分があっても、「あんまりごちゃごちゃ言うようならもうアンタの仕事せーへんで!」ってなっちゃうので、トラブルが起きても冷静に、かつ温かく受け入れて、柔らかくこなしていく。
理不尽だと思っても、まずは商品をお客さんに届けることを優先に動くのが大事なので、自分の感情は抑えて、今後の為に後日ゆっくりと工場さんとお話をして解決していこうと改めて思った。


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