丸編み生地製造の勉強-セミジャカード編-
先日、僕が前職のアルバイト時代から大変良くしていただいている奈良の丸編工場へ行ってきた。もう10年ぶりだ。駅から工場への道順も怪しい。
丸編みと言えば和歌山と思われるが、案外といろんなところに工場はあるものだ。奈良も結構あるらしい。僕は奈良と言えばこのニッターさんしか知らない。でもこの工場、個人的にはすごくコンパクトで好きな工場だ。
こちらのニッターさんは、今回のタイトルでもある『セミジャカード』が得意である。というか、その手の設備が中心だ。
そもそも『セミジャカード』とはどんなものか?
ジャカードと言えば、柄編みの総称になるのだが、多分パッと思いつくところだとアーティスティックな総柄がバーンと染め分けられた糸の入れ方で表現されているものではなかろうか。
↑例えばこんなやつとかね。
これは完全にコンピュータで柄起こしするフルジャカードと言われる部類になる。フルの柄起こしを詳しく説明しだすと夜が明けるので今回はパス。
で、セミジャカードなんだけど、簡単に言うとシングルなら36カット、ダブルなら24カットで組む規則的な柄の生地はだいたいがセミ。
簡単でしょ?
嘘っす、絶対簡単じゃないっす。マジ調子にのりましたサーセン。
シングル編みとかダブル編みとかの違いは本来この項目の前にブログ書くべきなんだけど、今まで組織別に書いてきてるし、今度まとめてnoteで書くとして。
36カットとか、24カットって何?って話をすると、編目が何目か?って事。
36カットなら36目、24カットなら24目。この間で柄を作って繰り返したら繋がるような柄編みができる機械がセミジャカード。
千鳥とか小さめのチェックとかは大体これ。
もちろんフルジャカードでも表現は出来るけどフルはコンピュータデータを作らないといけないから柄代ってのが別途掛かるし、機械も高いからコンピュータジャカードの機械を持ってるところもそんなに多くない。少ないわけでもないけど。
これがコンピュータの機械。
で、セミジャカードはどうやって柄を作るかと言うと、パンチカードに穴を空けて、カムの位置を変えることで柄にしていくんだが、パンチカードに穴を空けるって言っても、仕上がりの柄を組織図で書ける人がいないとパンチカードも作れない。もう専門用語のオンパレード。
簡単に言うと編み柄は、丸編みの場合、針の動きを調整して作る。
その針の動きっていうのは、ニット、タック、ウェルトの3つで、その3つを調整するのに、普通の無地編み機械だと、カムと呼ばれる鋼鉄の部品を全部入れ替えて作らなければならないところ、セミジャカードの機械はパンチカードという厚紙に穴を空けて、それを機械にはめ込むだけで針の動きを調整することができる。夢のような機械だ。
↓これがカム(ダイヤル方向)。
機械の説明してると今週終わっちゃうのでセミジャカードが編まれるまでの流れを簡単に紹介。↓
まずは組織図を書く。
そしてその組織図通りにパンチカードに穴を空ける。
で、このパンチカードを機械にはめる。
これだけでOK。素晴らしい。
こういう方式をジャックと言うので、ニッターさんにジャカード頼んだら「ウチはジャックだからこの柄は出来ないなぁ」って言われたら、36目か24目からはみ出してる柄なのでコンピュータにしなければならないから柄代がかかると思った方がいい。とはいえこの作業もそれなりの知識が必要なので柄代分くらいの工賃は弾んでもバチはあたらないどころか、工場さんから愛されるお客さんになれる。
ジャック以外にもパターンホイールという機械がある。メカ好きにはパターンホイールの方が萌える絵面だが、今回のニッターさんはジャックが中心なので、また今度パターンホイールの機械を見かけたら写真をアップしようと思う。
どうやって24や36目で継続した柄を考えるかは、平面柄の場合はエクセルシートのセル1マスを正方形より少し縦長にして縦横24セルずつのベースを作って色埋めしていくとわかりやすい。
ちなみに横方向一列の中に入れられる色はゲージと番手によるけどコンピュータなら3色が適度に限界。ジャックは2色で考えるとちょうどいい。
曖昧な言い方で申し訳ないが番手とゲージと柄によって制限が変わるので割愛。
タックなどの浮き柄が入る場合はまたイメージが違ってくるのでニッターさんと話し合いしながら作っていくのが良いだろう。
どっちにしてもまずはニッターさんに設備を聞くところから始めた方が良い。
やりたい生地肉と、糸、柄など詳細を伝えたらセミなのかフルなのか教えてくれる。
最初は難しい言葉が並ぶけど、わかったフリをしないで分かるまで聞くといい。嫌がられるかもしれないけど、知らないで事故るよりは知って理解出来た方が100万倍マシである。
レッツ質問。コミュニケーションをとろう。
仲良くなれたら色々いい事あるよ。
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