都合。
繊維製造はイレギュラーが多い。多いというか、イレギュラーしかない。
先日知り合いのシステムエンジニアさんに「〇〇って問題があってさぁ、とんで行ったわ」など話していたら、それは仕組みで改善できないものなのか?と問われ、システム化したら莫大な富を得られるかもねなんて笑いながら酒を飲んだ。
実際、先週は本当にアクロバティックな動きをした。
問屋様生地を購入し短納期対応の商品の出荷前に生地飛び込みが多数あるということで「どうしましょう?」と工場の人から連絡があった。もはやどうしましょうもこうしましょうも、取るしかない。ということで現場へ直行し全部除去し無事運送便に積み込んだ。納期は絶対だ。飛び込みを取りながら、検反者はなんの給与を受け取っているのだろうかと考えて、これらをAIなんかあたりが全部できるようになればなぁなんて考えていたのは内緒。
だってさぁ、一枚に2-3個入ってて、かつ全体量の3/4にあったんだから、いくらスワッチに「オーガニック栽培のためコンタミ飛び込みがあります」って書いてあったって、そもそもお前これコンタミも天然由来じゃなくて全部PPじゃねぇかって憤りながらまじぶっkrs
工場現場は委託加工がほとんどなので、支給資材がいつどのような状態で入荷するかという情報が必要で、かつその情報通りに入荷したものは、全て状態に問題がない前提でライン組をする。
なのでラインに入ってしまったら途中でアレが足りないとかコレがおかしいとかは甚だ迷惑な話なのである。当然と言えば当然。工賃は時間がお金、まさにタイムイズマネー。
とはいえ、工業も商売である。対等な立場で発注者と受注者の関係性があったとしても、対応次第では、そこは人なので、工業上の都合があるのは承知の上で、商売の継続を考えざるを得ないタイミングも双方にあるだろう。
全員じゃないが、国内アパレルブランドの、特に小規模系で一人二人で回しているブランドさんたちの多くは抜け漏れが多い。これはね、仕方はない。いやちゃんとしたほうが良いに決まってるんだけど、どうしてもなっちゃう。人間だもの。
僕らみたいなOEM中間業者が挟まってる場合は、工場さんたちに依頼する前に情報整理するので直工場よりは比較的問題になりにくいが、材料直送になると入れ日記(伝票)と物が一致しないとか普通にある。それぞれ、ちゃんとせえ。と思いながらそれもまた人間だもの。
副資材もオシャレがすぎると、文字が見えないとかあるから作って出す人も間違えちゃったりするし。
物や人、現場の状態によってそれぞれの都合がさまざま出てくる。一要素くらいならまぁいつものことなんだけど、それが時々一気に全方面から重なって大爆発することがある。例えば僕の先週のように。
そん時どうするか。もう腹括って飲める泥水は喜んで飲む。幸い、僕の場合はいろんな現場体験が功を奏し、作業ができるというストロングがある。なので結論、行って自分でやるという解決方法が存在する。あんまやりたくないけど。
飛んでいって作業一緒にやるとね、現場の人たちからも結構愛されるから、心理的に仕事の優先度が上げてもらえたりするおまけつき。あいつは動くやつだな、俺らの仲間だなって。
行くだけで何もしない人はダメよ。逆効果。そういう人はもう納期遅れるとか、お客さん側(ブランドさんなら社内とか卸先さんとか)に対してゴメンして素直に謝ってリカバリーの期日等をかたいところで再提示するしかない。または何もできないけどとりあえず行って現場から実況しながらゴメンするか。パフォーマンスだけど。で、たぶん「なんとかしろ」しか言われないだろうけど。
いずれにせよ、工場の都合で止められないのは先述の通り。工場の稼働を優先したい気持ちはわかる。だからと言って相手の不備を責めて自分たちはいつも被害者みたいな態度はいただけない。自分らだって間違えるだろうが。それがどれくらい許されてきたのか振り返ってみなさいよ。
まして自社工場を持っているわけじゃないなら、お客さんの足りなかったところを自分が飛んで行って現場でカバーするくらい動いたれや。職人がかわいそうだというのは本当に世間のせいなのだろうか。
これらを仕組み化して、コンピュータ一元管理ができたら莫大な富を得られる可能性を感じる気持ちもわかる。何より数多ある問題解決になるならば、それこそ世のため人のためになる。
とりあえず、そんな未来がくるまでは、やれることやって双方に信頼を得て商いを大きくしていくことに注力されたほうが、不遇をSNSで散らかすよりは生産的ではないだろうか。
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