アンフェア。
一体どれくらい理不尽な扱いを受け続けたらここまでミスに対する恐れを抱くようになるのだろう。
繊維製品の取り扱いは、関わるその末端まで不確定要素のオンパレードなので、そこで起こる人為的ミスなどは、よっぽど悪意のある意図的なものでない限り想定の範囲内である。
先日、最近ご紹介でお仕事をさせていただくことになった副資材屋さんが、資材の色を間違えてしまった。よくあることである。別に何ら驚くことではない。一着に何種類、何色も使うアイテムの場合、依頼しているこちら側でさえ、途中で何やってるかわかんなくなるくらい混乱しやすいもんだ。色番を見間違えるくらいのことは起こる。
もちろんミスはミスなので、お仕事としては褒められることではない。ただ、僕らの目的はあくまで『商品を依頼通りに期日に納めること』なので、起こってしまったことに対しての反省検証は後日でよく、取り急ぎその場を凌ぐための最善の策を共に考え乗り越えることが先決だ。
でもその資材屋さんの方、めっちゃ電話での声が震えてて動揺が隠せず、慌てふためいていた。本当に何かを恐れているように。矢継ぎ早に出てくる謝罪の言葉と、どうしたら良いかわからないような状況を一旦なだめ、こっちでできること、そちらにお願いしたいことを整理してゆっくりお伝えした後に「大丈夫ですよ」と一言かけてあげてようやく落ち着きを取り戻した。
別工場さんでも以前、起こってしまったことに対しての落ち込みがひどく、精神をやられて体調を崩された方がいた。依頼主であるこちらの電話に出るのが怖かったと言っていた。精神をやられて体調を崩したのは、僕の声を聞く前に勝手に怒られるのを想像したのだそうで、そんな風体に見えていたのであれば、この見た目のチャラさを恨むしかない。普段の物言いも極力穏やかに努めているけれど、それが逆に怖さを孕んでいる可能性があるのであれば、もうしゃべらん方がいいのかもしれない。んなアホな。
その方は精神的にやられて体調を崩すことが多いらしい。彼もまた「大丈夫」の一言でかなり楽になったらしく、それ以降は少しでも怪しいことがあれば気軽に電話くれるようになった。
ミスは誰にでもある。という慰めを書きたいわけじゃない。お仕事だもの。
ダメなものはダメ。なんだけど、怒鳴ったり、いきなり金銭的な圧迫をかけて脅すような恐怖政治的なマネは受託者にとって緊張感より負の感情が相手に対して膨れ上がっていく。
なんせ僕が若かりし頃は、そういうのが日常的に横行していたので、そういう人になりたくないという強い思いが出来上がった。
いまだにそういう人はいる。それも人間だから、きっとそういう人なりに守りたい『立場』があるんだろうね。そう、怒る人ってたぶん『立場』を守りたいんだろうな。勝手な想像だけど。
でも恐怖で縛られたらね、ミスって増える。これも経験済み。ビビって何ともないことまでまともにできなくなるの。
相手が数字持ってるから怖くても言うこと聞かなきゃって頑張る人も多いし、それもわかる。でもそれはフェアじゃないよね。そもそも依頼主と受託者って上下関係じゃなくて対等だから。
でもたまにこの対等を勘違いして、お客さんに対して横柄な態度とる業者さんもおるしね。これもあんま望ましい状態ではない。持ちつ持たれつ。相手の足りないところをお互いに補い合っていきながら盤石な関係を築いていくのが、お仕事していく上で僕は理想としているところ。
0コメント