補助金という金縛り。

僕は前職時代から、地方工業だった為かなんか知らんけど、補助金事業に直接的なり間接的なり関わることが多い。

前職時代は特に組合関係のこともあり、補助金のおかげで海外で展示会をやってみるなどの経験ができたこともあるが、その記憶自体は非常に苦々しい思い出の方が強く残っている。

なぜこんなことを書くかというと、以前にも情弱経営者云々の回でも書いたが、ちょっと心配な物を見つけてしまったからだ。

ちなみに以前書いた「情弱地産経営者と出来損ないコンサル」の回はこちら↓


ちょっと心配な物は、TKF主催のこちらの取り組み。↓

全体的に何がどうなっていくとどういうことが起こるのか全くわからない。

これが補助金事業であるかどうかのところは実際わからないので、この取り組み自体が良いとか悪いとかの話ではない。わからないが、多分、補助金事業なのではないかと思ってる。多分ね。全然知らないけど。良いとか悪いとかじゃなくて。


で、何が心配かというと、僕の経験上、もし仮にこれに参画する地場企業がいたとしたら、おそらくは思い通りの事業展開をさせてもらえない可能性が、補助金だった場合はあり得るという点である。まぁ、タラレバなので憶測の範囲を出るものではないから、僕の「たわ言」だと思ってもらって構わない。



たわ言を続けるね。



僕の経験上、多くの場合、補助金事業は先に会議などで策定したプランからズレる内容がある時は莫大な書類と確認作業が入るため、ほとんどその作業に時間とエネルギーを持って行かれてしまう。

だから当初の想いと実際にオペレーションをとる現場や得られる結果にズレが出てきて、「なんかイマイチだな」ってなったとしても、プランを練り直したりするより、当初のプラン通りに遂行することの方が優先される事が多い。

その結果どうなるかといえば、その事業自体、大した結果を生まないのは明白である。


とはいえ、個別に体力をつけて、着実に形にしていける連中もいる。だから、良いとか悪いとかの問題ではない。

心配なのは、こういうことに対して免疫を持っていない人たちが関わることで、「動いた割に成果がなかった」というネガティブな印象だけ持って終わることである。

これが諦観に繋がり、業界どころか行政にも失望してしまう。非常にもったいないことだ。




話は7年前の夏に遡る。

前職時代、組合事業で補助金絡みの展示会を開催するために海外へ行った。

その時参加した企業は8社。トランプタワーのとある会社のオフィスを借りて展示した。

海外へ生地を出展する事自体初めてな企業も多く、控えめに言って結構浮かれていた雰囲気だった。

いや、控えめに言って、一部は完全に浮かれていた。展示会場へ入る現場のスタッフはそれどころじゃなかったけど、何社かの社長は自由の女神を見に行ったりして、完全に観光してただけの人もいた。


実際に招待客を入れて展示会が始まると、海外出展経験がある会社は圧倒的な力の差を見せつけて顧客のハウスリストを集めていった。言語力もあるけど、展示方法から接客フローまで何もかもが未経験者と圧倒的に違う。何より彼らには「海外で勝負する」というはっきりとしたビジョンの元に徹底的に市場調査されたサンプルが揃っていた。

「良い物を作れば認めてもらえる」としか考えていなかった地産の工場とは意識レベルが違う。


終わってみれば、なんのことはない、実績のある企業が当然の様に成果を出し、浮かれていた企業は「自分たちは動いた割に見込み客も得られなかった」という状態だった。

敗北感に見舞われた企業の中には、成果を出した企業に対する「妬み」を露わにする企業もあった。

もしくは補助金事業のプラン策定自体に文句をつける場面もあった。

オペレーションに関して後から後から文句が出てくる人に限って、事業策定の最初の段階から真剣に向き合っていない場合が多い。


しかし補助金事業はどの企業に対しても平等に監査やレポートの提出を求めてくる。なので参画するのであればオペレーションをとる側に回らなければ、後乗りで敷かれたレールに乗っかって自分たちにとって不本意な結果を待つしかないのである。

最悪な場合、自由になるはずのお金を、自分で上手に使えずに外部コンサルなどに頼ると、前回書いた様な悪徳コンサルが現れてゴッソリ持っていかれるケースもある。

これは正直、自業自得と言わざるを得ない。


目の前に出された他人のお金に目が眩んで飛びつき、通常業務をおろそかにせざるを得ない状態になるほど書類や監査に追われ、結果満足な事業ができなかったと文句を言っても、「それは御社が選んだ結果っすよねー」って言うしかないんで。

自力でもっと出来ること考えて動けないと、結局人が敷いたレールなので上手くいかない可能性高いと僕は思う。

自己事業投資はできないのに補助金が出るとなれば事業を考えるとかヤバいでしょ。補助金でたとしても自己資本いるからね。継続させるならなおさら金いるからね。思い出づくりは個人の財布でやろうね。


ただ、さっきも書いた様に、補助金使って勝てる企業も存在するのは確かなので。良いとか悪いとかの話ではなく、冷静に見極めて欲しいなと思う訳で。


と言うことで、先ほどのTKF主催の東京なんとかってのに参加される企業におかれましては、慎重に検討していただきたい。

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