守破離。

弊社も今大掃除を終えたので今年を振り返り、6月から始めたこのブログやツイッターを通してこの半年で弊社と僕の『何が変わったのか?』『何が起こったのか?』を記しておく。長いです、悪しからず。

ツイッター↓

結論から言うと、この半年で、今まで知り得なかった沢山の先生方に会うことができた。

これは紛れもない財産だ。今ツイッターでは400人もの方にフォローしていただき、ブログには日に100アクセス以上していただいている。そんだけ?と思う方もいるかもしれなが、カットソーという非常に狭い切り口の中で発信をしている僕にとって業界内外でここまでたくさんの人たちとやりとりができるのは奇跡に近い。

そしてこの中で、僕を導いてくれる人たち、僕を応援してくれる人たち、僕を必要としてくれる人たちに実際に会うことができた。今までの活動は飛び込み営業以外では顧客間の紹介や工業側からの紹介がほとんどでこのようなスピードで今まで知らなかった人たちと出会うことはあり得ない。

またオンラインからオフラインに移行して実際にお仕事をさせて頂いている方も存在する。本当にありがたい。

導いてくれる人はもちろん、応援してくれる人も必要としてくれる人も彼ら独自の視点を持っていて、たくさんの知見を与えてくれた。まさに先生たちだ。

そしてその沢山の先生達から得たヒントを元に行自分の動に落とし込んでいった。

これは今までウェイト姿勢が常の製造業出身の僕にとっては非常にエネルギーのいることだったが、見たい未来の青写真が描けだしていたので自分を奮い立たせて自分から行動を起こすことにした。


まずはなぜ発信を始めたかをまとめてみたい。


~発信を始めた理由~

会社立ち上げ3年目にして、なぜ今更インターネットを使用してこの業界の情報を発信しようと思ったか?というと「今のままではダメだ」という漠然とした危機感である。少し長いが以下詳細だ。

従来弊社の商売は顧客の要望に対してピンポイントでカットソーの生地を提案、製造、納品をすることである。いわゆるOEM製造業であり、別注のカットソー生地屋である。そして紛れもなく今世間から憎まれ役の中間業者である。憎まれ役の意味はこの記事を見てもらえればなんとなく伝わるかと。


中間業者が悪者であれば、僕の存在は社会的に「悪」ということになる。

まぁ今の所中間業者が必要性な旨は先ほどのブログに綴ってあるので改めて言わないけど。

ただ僕自身、中間業者なんていない方がいいと思う。その方が原価が抑えられ、購入者には安く商品が届くし、ブランドの収益が向上して改めてこの業界に活気が戻ると信じている。

本来アパレル業界は中間業者なんて糸商くらいのもので、メーカーが工場と直接生産のやりとりをしていたはずだ。過去にあった姿が未来を切り拓く理想形だと信じ、今僕にできることを形にしたいと思ったのだ。


昨今は便利屋のような中間業者が増え、アパレルメーカー側の製造知識の欠落および工場へ対する人道的感覚の消失を招き、工場側には商品購入者に対する配慮の欠落やアパレルメーカーに対する理解力の低下などが目立つようになってきた。そんな現場で何が生まれるか?義のない予算消化商売でとりあえず「納まればいい服」がメーカー側に納められるようになる。

そしてこの「義がない消化予算」をめがけて大した運動量もないのに増え続ける中間OEMメーカーが中間マージンを得て「悪」だという世間の認知が出てきた。「悪」の中間OEMメーカーが介在すると売り側と作り側の温度差は必ず起こる。これは購入者にとってマイナスでしかない。


僕はこれを少しでも是正できればと、アパレルメーカー側には製造知識に触れてもらえるように「製造の勉強」と銘打って記事を作っている。

悪者の中間業者には生き残りたくばその存在意義を問うた。

そして工場側にはアパレルメーカーやデザイナー、そして何より最終洋服を手にするお客さんの想いに応えてもらえるように、日々駄文を連ねてきた。

これらをそれぞれが納得して実践してくれた上で、本来あるべきアパレル業界の姿に戻れば、僕の仕事は「アガリ」だ。

これが僕が発信を始めた理由だ。


~発信をする時に心がけたことは実体験に基づいた見解~

まずツイッターを始めて、この業界で活躍されている方々をフォローさせていただいた。

そして彼らの発信している内容の真意を確かめようと自分なりに咀嚼し、実際に行動して体感することにした。

まずは販売をされている方。僕はこの業界を通しておそらく販売職だけ経験したことがない。自分が買う側だという時、その背中を押してくれる販売員さんたちの日々の思いや行動心理を知りたかった。ほんとは販売員を経験したかったのだが、まだその段まではできていない。(色々当たってくれたLINOさん、ありがとうございましたm(_ _)m)

商売上、売り場はよく行くので、メンズの売り場はもちろん、レディースの売り場や女性下着売り場に行き店員さんの挙動を追った。そこで適切なアプローチをしてくれる人や、全く無視な人、売りたい気持ちが出過ぎちゃってる人など、販売の方が発信されているツイッターやブログを読んだ上で現場の彼らの心理状況などを前提知識として持って実際にそのような機会に触れる時間を作った。


そこで得た販売員さんの商品知識や素材に対する考え方などを工場側へフィードバックできると思い、自戒も含めた内容でツイートした。

何がわかったかというと、マス(大手セレクトショップのPBや大手アパレルメーカー)の売り場では、生地のこだわりだけを全面に押し出してくる店員さんはほぼいなかった。つまり日本の何処其処で〇〇にこだわった生地は売り場でほとんど威力を発揮しないことがわかった。


また、日々の商談においても、デザイナーやメーカーが商品に込めたイメージや思いを共有すべく当然自社背景の工場へは日々のオペレーションで伝えていたが、技術的に不可能なことや物理的納期に対して無茶振りをしてくるなどの場側から上がってくるアパレルメーカー側への知識不足に対する不満などをツイートした。


いずれにしても体験を通して自分なりの見解を重ねてから発信するようにした。中身がない情報が誰かの為になるはずがないと思ったからだ。少なからずそういった内容の発信にはリアクションをいただけた。

そこから派生して改めて色々な視点があることもわかった。

僕の意見に肯定的な人、批判をくれる人、匿名で間接的に遠くからウンコ投げてくる人。

全てきっと彼らなりの正義なんだと思う。だから、それぞれの視点に立って深く理解したいと思った。この経験は発信をしなければ得られない体験である。


~守破離の「守」~

これらの発信を経て得られた体験や先生方の知見を元に、とりあえず自分が首肯したことに関しては実践を続けることを意識した。

続けた上で意味があったこと、なかったことが明確になってくる。とにかく言われた事をやってみる。実践しない上でいただいたアドバイスを否定することなどまずできない。やってみた上で自分を通して他の人の為になること、必要ではない事を取捨選択したらいい。

とにかくやってみる。そして続けてみる。この行動は一両日で結果の出ることではないのでとにかく続けてみるのは大事だと思う。

特に俯瞰する意識は大事で、当事者として深く業界に入りすぎた時こそ見失いがちなのは、誰の為にこの仕事があるのか?という意識だ。

やはりカットソー業界に15年もいると、職人の当たり前や、業界全体の当たり前に疑いを持たなくなる。しかしその当たり前が、僕らが作り出す商品やそれを購入してくれる人にとってメリットがあることなのかどうか?という視点が足りなくなる原因になっているのだ。

そういう外的視点を、この半年で知り合った人たちから多く学んだ。何度も言うがこれは僕を含めた製造内部の人間に圧倒的に欠如している視点だ。


~とにかく実践してみることから考察を獲る~

今はとにかく得た知識を納得するまで実践し続ける事を意識している。これが守破離の守だ。

思えば今までこの稼業においても守破離だったではないか。

19歳でこの業界に入り、とにかく教えられた事をひたすら「守」り続けた。通り一遍なぞれるようになったら不合理な部分に懐疑的な思いも出てくる。そして自分の性格に合わせて基礎を応用して型を「破」りだす。するとルーツに縛られる事のデメリットが見えてくる。そこから「離」れることで一端の商圏が築けるようになる。そして本(基礎、商売という視点では顧客の利益、自利利他の精神)を忘れることなく邁進していくことで安定してきた。何より独立開業できた。


今はこのインターネットというテクノロジーの恩恵を受け(今更)た上で知り合えたたくさんの先生方から得た知見を実践することで、少なくとも今までにない動きが生まれ、既存の商売形態とは違った取り組みをさせて頂いている方々がいる。

次はこの仕組みを破り、本を忘れず離れることができるように来年以降もストイックに取り組んでいく。


それではみなさま良いお年を。

ulcloworks

ultimate/究極の clothing/衣服を works/創造する ulcloworks

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