テンションのブレで迷惑をかけてる話。

出張、それは非日常。

出張、それは現実からの逃避。

製造業諸兄はこの様なことになっていないだろうか?


油臭い工場を離れ、華やかなファッションの商談へ。それは当時工場の営業だった僕にしてみたら浮き足立つ要素しかなかった。地方の工場で日々を過ごしている人ならなおさらであろう。

しかも携えた商品はこの時の為に仕込んだ真新しいサンプルだ。きっと商談が盛り上がり成約も入るかもしれない。そりゃテンションは上がる。


いざ商談では少し難しそうなオファーがあっても、物理的になんとかイケそうな案件なら安請け合いしてしまう地合いだ。きっと深く考えずに「できますよ!」なんて言ってしまっているのではないか。

そしてその安請け合いを手帳にメモして、気分的に良い宿題をたくさん抱えた夕刻、気の合ったお客さんと夜の東京に繰り出せば、そこは地元ではない地、自然と足枷も取れ羽を伸ばしてしまう。

あぁなんて楽しい出張デイズ。

営業ラウンドの心地よい疲労感も手伝い、酔いも程よくまわり、いやまわりすぎて二日酔いなんてことも珍しくないだろう。

そして招かれる悲劇。商談時に持ち合わせていた前向きなテンションを出張先に置き忘れてしまうのである。


工場へ戻ると安請け合いした案件の正式オファーが舞い込んでいる。テンションが日常に引き戻された瞬間に、難易度の高さを理由にその安請け合いをいとも簡単に覆し、断りの連絡を入れたりしていないか?もしくは問い合わせを手帳にメモしたまま放置していないか?

その放置メモに気が付いた後も「お客さんから問い合わせの請求が来ていないから良いや」となっていないか?

こういった事が積み重なって商売を逃していても、そこに原因があると意識できない人は多い。

商談時に問い合わせ内容を手帳にメモしている事をお客さんは憶えてる。そしてその問い合わせを再度してこないのは「そういういい加減な業者だ」と諦めている可能性が高い。なので、このお客さんに再度アプローチしてもそれとなくアポを断られて見込み客を失う。


売上が頭打ちな理由に商品の改善や、市況の悪化を挙げる人は多いが、本質はそうなのだろうか?

自分たちの営業態度は本当に問題ないのだろうか。

案外、テンション上がって広げた風呂敷を上手にたためないまま、散らかしているケースは正直よく聞いているし、僕自身そういう業者に当たったこともある。

オファーする側は、やっとの思いで受けてくれる先を見つけたかもしれない。それなのに商談時と後日の電話でテンションが全く異なり、「あぁ、あれ、やっぱ無理ですわ」なんて言われた日には人間不信になるレベル。正直とても残念な話ではあるが、工業の営業でこういうことはよくある。だからオファーする側も耐性ができてるとはいえ、工場は商機を逃した上に、もれなく悪いイメージも付いてくる。


明日から始まるJBKS(ジャパンベストニットセレクション)でもこの様な事態にならない様、出展者諸兄の真摯な対応が素晴らしい商売に繋がる事を祈る。

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