中間業者に求められるチカラ。

この業界に従事していると、一般の方からは見えない中間生産業者が多く存在していることに気づく。

「アパレルメーカーは工場へ直接依頼をしているのではないのか?」と思う人も多いだろうが、部分的、もしくは全体を中間業者へ生産依頼しているメーカーがほとんどだ。

僕自身、前職が初めての会社になるが、アパレルメーカーと縫製工場以外にこんなにもたくさんの業者が存在し、取り纏めるための中間業者がわんさかいるなど夢にも思っていなかった。


僕が属しているカットソー業界は、アパレルメーカーから一貫で生産を請け負う場合が多く、僕らのような中間業者は非常に多い。

アパレルメーカーへ生地から縫製を一貫で提案から生産、納品までこなす中間業者に求められるスキルは多い。


まずは提案力、お客さんの志向を理解してストレスなく素材提案から入れないとなかなか業者として受け入れてもらえない。

このように、提案素材のピックアップを生地屋に丸投げだとその営業担当のセンス如何では商談のタイミングでセンス無しの大事故商談になりかねない。

そして僕の場合はこのように丸投げしている時点でその担当は顧客さんへの愛情がないと感じてしまうため、仮に商談のアポイントまでこぎつけても成約の確率は非常に低い。これは経験上ほとんどハズレはない。

この中間業者の担当者が僕のセンスに頼ってくれているのは僕にとってはありがたいことであるかもしれないが、正直成約率の低い商談が目に見えるのであまり歓迎しない。

少なくともブランドのテイストとアイテムを把握してマッチングできるように素材の種類などを絞り込んで収集依頼をすべきである。そうすることで顧客さん側から「この人わかってくれてる」という信頼感を得ることができて、「実はこういうのも探していて・・・」など新しい宿題も貰えたりするものである。


次に素材や縫製の知識も求められる。

これは当然と言えば当然だが、アパレルメーカーの企画担当者からしたら、中間業者はその道のプロであると思われている。

このように、まず自分が何の素材を扱っているかわかってない子ちゃんは入社日からやり直し。

見てカットソーか布帛か分からんような営業担当に対して顧客さんが信頼を寄せてくれる可能性は非常に低いというか、ない。

仮に僕がそのくらい完成度の高い生地を提案できていたとして「どちらか分からないくらいすごいですよ!」という驚きの反応だとしたらポジティブに捉えられなくはないが、絶対違うよねコレ。

まずそこから教えなければいけないのか。

「僕は和歌山に生産工場を持つ丸編みカットソー業界で14年働いていて、、、って、御社もカットソーOEMメーカーだよね?笑」

という寸劇をしなければならないのか。

まぁ「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」なので聞いてくれてよかった。

でもね、お客さんは君のことカットソー生産のプロだと思ってるから、色々覚えていこうね。

知らないってことは悪いことじゃない。知る為の余白がある。

興味持って調べると色々原理がわかって面白いし、お客さんもその知識を頼りにして仕事に信頼感が生まれるから知らないことを知るって良いこといっぱいあるよ。

でもこのメールの締め方だと、「どっちでも良いから値段教えて」に見えてしまう。

これだと生地屋さんもやりがいないなって思ってしまうから、仕入先に対してもマイナスイメージ。

生地値だけじゃなくて、「カットソーかどうか教えてください」って一言あるとマイルドになるよ。


これ以外にも生産にかかるリードタイムの把握、それを逆算して発注リミットなどのアナウンスやサンプルの仕掛け時を調整するなど、納期調整も重要な仕事である。

これらの多岐にわたる業務を一括管理できて初めてマージンを頂戴できる。

納期遅れを工場のせいにしたり、発注遅れをお客さんのせいにしたり、生地の知識が足りないために起こるトラブルを誰かのせいにしたりと無責任な中間業者はたくさんいる。

そういう人たちが中間業者全体の印象を悪くしている。

必要とされたいのであれば、必要とされるべきチカラを持たなければ「居るだけ」の人たちになり、それこそ不要なコストになってしまう。

まずは顧客さんを知り、自分を知り、仕入先を知る。

彼を知り己を知れば百戦殆うからずである。

売り上げ追っかけるだけだと大事なことを見落とすことになるよ。


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