表現。
生産のお手伝いの中で、商品説明を求められるようになって久しい。生地の特徴なんかを書くことが多いのだが、低学歴の僕にとって簡潔に商品の良さを引き出す語彙を持ち合わせていないので非常に難易度が高い。
『なぜそうなのか』と言う部分が大変理屈っぽくなりがちなので、だいたい長い。でもそこを理解してもらえないと他と何が違うのかが明確にならなかったり、熱意がこう、なんつーか、足りない感じがしてしまう。
少々めんどくさい感じの説明になるので、興味ない人は完全に途中から離脱される。でもこれが好きな人にはすごくハマるので、気に入ってもらえると嬉しいな、なんて自己都合。
ただ、意図せず採用されているものに対して、かつ特段言うことがない製法のものは、どんな頑張っても語れないってことがある。それなのに値段は高かったりするものもあるもんだから、たまに「お前なんでこれこんな値段すんねん。見た目なんか普通やないか。他と何が違うんや」と怒り気味に仰る方もいらして、まぁそれ選んだのそっちだけどねなんて思いながらも、ない頭から知恵を絞り出してそれっぽく言葉で飾り上げた過去があったような気もする。
ある頃から色々とそのあたりのお勉強をして、気をつけている点がいくつかある。
例えば最上級表現を避けるなど。やはり商品説明は不特定多数の方に対してされていくものだと思うので、業界精通されている方もいる可能性がある。そうなると適当なことなんか言えないし、まして最上級表現は対比が曖昧だったり、受け取る方の価値観によるところもあるので、「いやそれならこっちの方が良いよ」なんてツッコミが入る可能性があり、そこまで深く知識を持たない人が商品説明する際に詳しい人に当たってしまうといつぞや僕が某店員にかましてしまったスビン事件みたいなことになってしまう。
最も〇〇な一つって表現もよく見かけるが、『最も』と言うてる時点でトップちゃうんか、なんやねん〇〇の一つって、と、ピンと来なかったので調べてみた。そしたら『最も』は最高位ではなく、『まさしく』という意味で使われているらしく、勉強になった。そう言うことなら、最も〇〇な一つは、最上級表現とは違ってくるなという認識になる。
まぁ究極の〜とかが会社名になってるお前が言うなっつー話かもしれんけど。弊社の言うところの究極とはとどのつまり。売り手作り手双方、関係各位が業務遂行にあたり良い意味で『ここしかない』といった具合の概念に近い。
あと情報の受け売りだけで根拠のない数値も言わないようになった。だって根拠ないから。あと機能性数値もあくまで数値なので体感を伴うかが大事なところと考えてるから、明確に対比できるものがない限りはあまり言わない。
高い値段が受け入れやすくなるものとしてこういった蘊蓄を求められているのも理解できるが、誇張した蘊蓄並べるよりも、可能ならモノ自体が雄弁に語ってくれるオーラをまとい、その値段に見合った価値を感じていただける仕上がりになっているのが望ましい。
生み出すのにどれだけ苦労したとか、背景絶滅危惧系の希少性とか、色々訴求ポイントってあると思うんだけど、救わないとまずいって感じの悲観的な空気になる言い方は避けるようにしてる。それ聞いて可哀想だなって同情で物自体の価値が吊り上がるとはなかなか思えない。いや、そういう心優しい方もいらっしゃるかもしれないけど、やるならもうちょいポジティブに語りたいし、そういうのは商品がちゃんと受け入れられてから先の話だと思う。
なんにせよ、着てくださる方が楽しんでもらえるのが一番なので、そういった表現をしていきたいと常に心がけて今日も日が暮れる。
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