悩んでも変わらない。
僕は中間業者だ。もう、圧倒的に中間。
お客様のクリエイティブを工場様に形にしていただくという、もうこの文面だけみるとアイデンティティなんて存在しないような立ち位置だ。
そういう性質上、中間業者は時に人権さえなきものとされている錯覚に陥る。
最近知り合いがこの業界に戻ってきた。それも僕らと同業の中間業者という立ち位置で。
元々は店頭販売員さんをされていた。その後は一旦業界を離れ、今に至る。
特定の商品が決まっていてそれをセールスしていくわけではなく、クライアントワークなので、カスタマイズバリバリの成果物に対して納期単価品質を常に問われる。これをどれもこれもお客様の要望に叶うよう揃えていくのは、場合によっては物理的に不可能なことだってある。
そういった『詰められる』案件が重なってくると、人は冷静ではいられなくなり、場合によっては、飛ぶ。
彼は言った「人権がないように感じる。どんなに申し開きしても『なんとかしろ』しか言われないし、土日も納期のことを考えて不安がずっと続いてて気持ちが休まらない」
これが中間業者に入った普通の人の普通の心理だ。僕らは知らないうちにどっかでバグった。
業界を離れる人たちは口々に言う「この業界はおかしい」は、多分そうなんだと思う。
でも、まぁ、そうなんだけど、気にしても仕方ないんで。だって不安で心すり減らして納期が詰まるならそうしたらいいけど、そんなんでは全く1mmもモノは動かないし、相手もそんなこと構ってられない。
ほんとならね、そこらへん全部、関わる人の気持ちを汲んでくれる人たちで囲まれた世界だったらどんなに素敵なことか。そうあるべきなんだろうけど、事実としてはそう言う人だけで世の中は回っていない。それは多分、繊維業界に限った話ではない。
だからじゃないけど、それ悩んでても仕方ないんで、今わかってる要素を全部箇条書きにでもして、どうしたらどうなるみたいな解決策の組み合わせを何パターンか作ってさ、で、できるところから動いて試してみるしかないんだよね。
しんどそうにパソコン眺めてても解決しないしさ。ネットに具体的に納期詰まるだったり単価下がるだったりの答え落ちてないし。
それやってる時間が不安の解消になるならいいけど、現実は変わらんからね。
悩んで悩んでしんどくなって、せっかく好きだと思って入って(戻って)くれたファッションの世界から出ていかなきゃいけないなんてもったいない。
ちなみに過去心に響いた(やられた)言葉は「お前の人生より長い間この商売しとるんじゃボケェ!殺すぞ!」で、救われた言葉は「命まで取られないから笑」です!今日も元気に生きてます!
— 山本 晴邦 (@HARUKUNI_Y) April 26, 2021
ほら、大丈夫。命は取られないから。今日も僕は元気です。
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