おーさん。~僕にとって業界のオヤジ~

僕は昔、生意気だったと思う。振り返ると。若気のいたりだったなって言って流してしまいたいことは、それなりにある。今でも生意気だよって思ってる人いたら、それはすんません。さっきBurrowチャンネル喋ってて、過去がいきなり蘇ってきて、急に当時一番最初にお客さんになってくれた人との色々を思い出した。


僕のことを見た目とかで「コワイ」って言う人いるけど、まじそんなんあの頃のおじさんたちみたらとてもじゃないけどそんなこと言えん。だって、まだ僕がバイトの時に会社の商談席でどっかり大股を拡げてふんぞり返って座ってる人の姿が、恰幅がよくて少し艶っぽい焦げ茶色のダブルのスーツ、黒いタートルネック、その上から金色のチェーンネックレス、視線をあげたら剃り上げたスキンヘッド、鋭い眼光。完全にそっちの人じゃねーか。って思ってビビってたら、また会社の入り口から別のヤバそうな人が入ってきた。ガルフィーのトレーナーにツータックのコールテンパンツ、白いローファー、セカンドバッグを脇に抱えハンチングキャップ、ドスの効いた声で「毎度!!!」と不敵な笑みを浮かべて入ってきた人を見るなり、大股拡げて座ってた完全にそっちの見た目の人がガタガタって勢いよく立って「毎度お世話になります!!!」って平に頭を下げてるのはさながらVシネ的なそれを目の当たりにしたような光景だった。僕はその時、この業界ってそういうところなんだなって真面目に思った。


何を隠そう、僕のこの業界で最初にお客さんになってくれたのは、そのガルフィーを着てセカンドバッグを持った親分だった。ここでは愛と尊敬を込めて「おーさん」と呼ばせてもらう。

すごく前に書いた記事だけど、この時のやりとりを僕は忘れない。

当時、丸編み業界に長く在籍され、会社を立ち上げられて数年たった業界の大ベテランを相手に「社長ね、こんなもん、莫大小(メリヤス)ですからねw」と、言い放った次の瞬間に僕は胸ぐらを掴まれていた。

当時は商談席でもタバコが吸えた時代、テーブルにはガラス製の丸灰皿。

その丸灰皿をもう片手で掴み振りあげられていた。そして鼻と鼻がくっつくくらいの勢いで「このクソガキァ!!!!お前の人生より長い間この商売しとるんじゃボケェ!舐めた口きいとんじゃねぇぞコラァ!」と、ただでさえ見た目がおっかないお顔をさらに歪ませフルテンのディストーションでつんざく轟音で僕の耳だけでなく脳天を突き刺してきた。


ちびるかと思った。


まじで涙目になった。


青二才の僕は帰りのエレベーター内で人知れず涙を流した。生意気だったから、それでも悔しくてエントランスホール大理石の床に全力で拳を打ち付けた。痛すぎてまた涙がでた。


おーさんは基本的に優しい。関西出身の方なので、お口は確かにお厳しいところはあるが、内容はとてもジェントルマンだった。

僕の非礼を幾度となく上記のような愛の鞭で正してくれた。最近ではパワハラとかになるレベルかもしれんけど、怒られる理由がこっちにきちんとあったから、全然嫌いにならなかった。逆に怒られた方が、調子に乗りやすい僕にとってはよかったのかも。

僕が知識をちゃんとした方向で使えるように、自ら色々と悪者役を買ってくれてた。


夜の遊び方も全部最初はおーさんから教えてもらった。

商談という名目で16時くらいに事務所に伺って、事前に打ち合わせ済みの発注書をもらうだけの対面後、「ほな山本くん、行こか」って言ってそのまま神宮第二球場でゴルフの打ちっぱなしをして、近所の小鉢が並んでる居酒屋行って軽くメシ食って、そのままタクシーで六本木か新宿へいき、てっぺん回るくらいに車代渡されて、「ほなまたな」って言って別れる。そんなおーさんに急に会いたくなった。


後輩が育つ過程で教育係的な立場でおーさんの商売を引継ぎ、後輩たちも鍛えてもらった。めちゃくちゃ世話になったのに、独立するタイミングで挨拶にも行ってなかった。本当に最後まで失礼なやつで終わってしまってる。自分の中で、ケジメつけるためにも、おーさんに会いに行こうと思った秋の夜であった。

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