準備。
絵ほどに極端にズレることはあんまり無いと思うが、初めてお仕事で面談に預かる際に、相手のことを少しでもお調べさせてもらってのぞむのが基本だと思っている。
しかも、大きな取り組みをトップダウンで仕掛けていく時などは、プレーヤー以外の人間相関にも大きな影響が出てくるので、準備というのはとても大切だ。
先日、知り合いの会社の社長さんから、今後取り組みをしていくということで、僕のキャラクターとは縁遠い大手商社さんと大手セレクトショップさんを相手に、提案にいく営業さん(結構偉い役職の人)がいるということで「悪いけど生地の面でサポートするということで、そいつに付いていってやってくれとお願いされたので出向いた。
もちろん僕なりに、そのセレクトショップさんのことは存じ上げており、いくらか下調べさせてもらい、訪問一週間前には事前にその担当営業さんに生地をピックアップしてお渡ししてあり、当日ももしかしたら必要になるかもしれないと思い、別の資料を脇に抱えて行った。
ところが、当の結構偉い役職の担当本人氏は商談が始まるやいなや「え?なんか言った?」と聞き返したくなるほど小さな声で、ボソボソと喋り出し、仲介役の大手商社さんがたまらず途中から背景説明のサポートをし出すほど。生地担当としてあてがわれた僕は、驚きのあまり三回くらい二度見した。いや、4回くらい二度見したかもしれない。
まぁ会社説明が苦手なだけで、プレゼンが始まればきっと君は知ってんだろう?僕の大風呂敷を今そいつで未来を盗むからさぁ手伝ってって具合にグッと盛り上がって僕もさぁ手伝おうか!って空気に!
ならない。
提案も、相手を知らないんじゃないかってくらいにジャンルの違うサンプルをテーブルに順々に上げていくだけ。説明は?「これ、今売れてるらしいds・・・」「え?なんて!?」ってくらい突っ込みたいぜウィスパーボイス!
がんばれ偉い営業さん!何してんだよ、このままじゃトップダウンも水の泡だぜ!お客さんの顔見てみろよ!ヤバイぞマジで、「何しにきたんこの人・・・」って書いてあるzうぇ
はよ僕が先週送り込んだ生地を!生地を!
生地持ってきてねぇ!やる気か!?やる気なのか!?
この空気で僕が自分で持ってきた生地を広げるっていうのかい?試練かい?これは神様が僕に与えた試練なのかい?
この後、僕が用意したハンガーを数点ピックアップしてくださり「まぁ、こんなことできる生地背景がありまんねん」だけは一丁前にはっきり聞こえる声で偉そうにおっしゃってその場を後にした。もう二度と付き添わん。そう思った。けど心配なのは、取り組みを約束したトップダウン案件をこうも見事に現場で崩してしまっては、おそらくお取り組みさえ怪しくなり、もっというと、その商社さんのご紹介で伺ったセレクトショップさんは、商社さんに対して言わないかもしれないけど(何しとんねん)と思っただろう。
まぁ彼にも事情があったのだろうから、その場がこうなってしまったことは仕方が無い。時間は戻せないのでもはやどうにもならない。ただ、名刺交換の順番とか、座る席順とかにはすごくうるさくて、いわゆる日本の偉い人との接し方的なことは割と周囲に強要するタイプの人だと知ってたし、そういう人は仕事の事前準備もきっときちっとされているのだろうと思ったら、今までどうやって新規の商売を作ってきたのかわからんレベルで何もしない人だった。もしかしたら新規の商売したことないのかもしれない。
旧態依然とした環境下で今偉いポジションにいる人は、黙っていても商売が向こうから歩いてきた時代に押し上げられて偉くなれた場合もある。そういう人は新規で商いを生み出した経験に乏しい。かと言ってそれを自分ができないのは、これからの時代はまずいっすよ。営業の頭数も足りとらんのだから、あんたが頑張らんで誰がやるのんさ。という気持ちでいっぱいだった。
どんなに偉くなっても、昔のノリとかで乗り切れると思わんで、ちゃんと準備しないと後々大変なことになるよと思った日の話。
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