デジタルシミュレーションの可能性。
↓これ気になるよね。3DCGでサスティナブルをどう実現していくか。
で、僕が以前に書いてたブログがあって。
実際に導入したんすよ。例のおもch...マシーンを。2月に。
早速実務でバシバシ稼働してるので、導入して良かったと思ってる。ほんと、事前に「見ないとわかんない」案件はかなり多くて、生地の風合いとかは実際に見てみないと進行判断ができないという事実。だから同機を導入したことで、やってみないとわかんない系の生地は事前シミュレーションで無駄なサンプルをつくらn、いや、ちょっと待って。風合いて。風合いて。
もちろん画面上で確認するものなので、生地を実際に触った風合い確認というのは物理的に無理だ。我々丸編み業界のデジタル版『風合い』は、便宜上『編み地の目』ということにしておく。
導入前に色々と説明を受けて、資料の中で見せてもらう生地のシミュレーションから現物の再現性は非常に高く関心させられる。が、前出のブログ通り、操る側の生地に対する基礎知識がないと、製造オペレーションに組み込むことは不可能だ。
ちょっと意地悪だが、極端な例を。
60/1 28ゲージ天竺、編み目数を現物と合わせて作ったシミュレーションと現物の対比。
どちらが現物かはすぐわかると思う。あえて説明すると、最初のが現物で、後者がデジタルシミュレーションである。まず60/1を28ゲージで編む天竺は、現物見本のように必ず縦目が斜めになる。これは無地なので現物みてからカラーシミュレーションなんてせずにすぐビーカーになるともうけど、この無地の風合いを叩き台にしてボーダーを組んだらどうなるか想像ができるだろうか。斜行分もピッチ干渉するので、先方から提示のあったボーダーピッチに対して完全一致させてしまうと、実際に編んだら違うピッチが上がってくるということだ。
再現性がこのレベルだということは、今はまだ仕方ないとして、問題はシミュレーションで素材柄提案などをした場合、相手がどこまで完成度を求めてくるかである。
例えば、今取り掛かっている案件で早速、想像の範囲内だが、そんな感じの問題が起こっている。
これは、向かって右がお客さんからの要望があった柄の幅で、実際に編み機変換するために別で作ったデータが向かって左。そして左のデータで編み下ろしたのが真ん中の生成りの生地だ。シミュレーションをお客さんの要望通りに作っても、実際に作るために別でCADを作らなければシミュレーションと同じピッチの柄が作れない。編み目の大きさをきちんと叩き台と揃えていてもこのレベルでずれる。
APEXでCADデータ作ってシミュレーションしたものを編み下げたらシミュレーションとこれくらい差が出る。当たり前だけど。解決策をポチポチと描画中。一発で上手くいかないのはわかってたけど、ニット目の余り部分がシミュレーション出来ないのは仕方ないのだろうか。データがないのか? pic.twitter.com/Qc4O6jHNjQ
— 山本 晴邦 (@HARUKUNI_Y) July 14, 2020
もっと言うと、シミュレーション上ではタックした横のニット目が引き起こすパッカリングは全く再現されない。まぁ、前例がない柄組みで、かなり意地悪な例ではあるが。
結果的に、この柄をうまく作り出すために、何度も柄修正を入れ、工場には編み下げてもらって現物をお客さんにみてもらって確認が取れてから進行するなど、「上がってみなければ分からない状態」は、かなり進歩しているが、完全に改善していない。結局現物作ってみてからってことになってる。
この辺は今後のアップデートに期待したいし、データとして実例が必要となれば情報提供はどんどんしていきたい。何せユーザーなので再現性は高いに越したことはない。お客さんはイメージして欲しいって言ったところで想像ができないからこういうツールが出てきてるわけなので、これが限界と言わずにどんどんと進化してもらいたいと思う。
だって今は新規創造生地チャレンジの責任をお客さん側がとってくれる土壌がないのでね。開発費を軽減する期待値はこの手のシステムに対してはかなり高いと思われ。某ファブレスメーカーも、この部分にサスティナブルをかけているのだと思うし(おそらくは生地というより縫製サンプルの部分を言っているのだろうけど)。
ただ、現状ではちょっと過信しすぎのような感を感じるので、念押しになるが、使用者の生地作りの知識は相当必要とされるから、機械が魔法になることはないということをしっかりと理解して導入する人はしてもらいたいと思う。
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