お金なんだけど、お金じゃない。
商売は、案件成立の前にお互いのメリットの確認がある。はずである。
性善説なので「そんな甘いもんじゃねーよ」っていう人がたくさんいるのは承知している。し、なんなら僕だって、長いことやってりゃ綺麗な商売ばかりでは無いから、結果のために魂を売るような時だってそりゃ、ある。
けど、これは間口を開いた相手に対しての数あるうちの一つでしかない。なぜなら、その相手とはそもそも手前で性善説の上で成り立つお互いのメリットの確認があって初めて仕事をさせてもらっている人たちだからだ。
一見不義理に感じられる取引先候補からのオファーを蹴るのは、相手に傲慢だと感じられても、それを許すと逆に乗じて相手が傲慢になり、不条理な要求をしてくるようになる。これは着席対面して数分の対話である程度わかる。「俺の商売の為に身を捧げよ」と、強要されているのが手に取るようにわかる。
— 山本 晴邦 (@HARUKUNI_Y) August 5, 2019
この中で大事なことは、具体的に言うと、まだ商売相手と認定していない人に対して、さらに、彼らの先にいるお客さん達が到底メリットに感じ無いであろう案件(継続性が見込めない企画)に対して、薄利的全面協力を求められた場合、そのオファーをお断りさせていただいているのである。
一発のために後味の悪いレールを敷きたくない。
しかもその一発は、依頼主しかメリットがない。依頼主のメリットがあれば良いのではないか?と言われたら、一見そうなんだけれども、その一発のために苦しい思いをして連鎖的に関わることになる全ての人たちに対しての報いを、依頼主ではない誰かからの利益分から捻出しなければならない。
そして、その一発がクセになると、その依頼主は他の顧客にめがけてどんどんと続かない一発を仕掛けまくる。そして付き合わされていく度に、僕を始め、その連鎖的に関わる仕入先の人たち、更には元々贔屓にしていただいている既存の顧客さん達の仕事に迷惑がかかる。
ところがその依頼主は、前提の薄利的全面協力と言うボランティアに似たものを無視して、「お金を払うのは自分たち」と言う正義をかざして要求はエスカレートしてくる。
するとどんどんと悪循環は続いていってしまうのである。
その一発は、一見製造業からすると魅力的である場合が多い。数量的に。
でも、数を張れば値段は圧縮される。また、その一発で総額的にそれなりにまとまれば、優先順位をあげてくるように要求してくるのは自然の流れだ。
そして何より、本人達には悪気がない。だからタチが悪い。
けど、安くやって当たり前、優先的にやって当たり前という姿勢は態度からすぐわかる。
だって工業が欲しがりそうな大きな一発を持ってやってくるから。
製造工業は時に目の前にニンジンをぶら下げられて不本意にも本能で走ってしまうことがある。
振り返れば何も残らなかったり、最悪は既存顧客の仕事を飛ばしてしまい、取り返すための信用を得るために長年気づきあげてきた関係性を最初からやり直していかなければならなくなったりする。
自分たちの存在で本当に喜んでもらうべき人たちが、一瞬のお金のためにいなくなってしまったら、本来得られるべきお金さえも入ってこなくなってしまうよ。
というレクイエム。
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