二番煎じの落とし穴。
どこかである生地が爆発的に売れてた時、しばしば周りの同業他社はその売れてる生地を真似た企画をすることがある。
「実際売れてる物を真似るのだから勝算がある」と、みているのだ。まぁわからないでもない。
アイデアを出す際に『リアプライ』という方法がある。これは先行して存在しているアイデアを拝借して独自のものにしていく方法なので、それなりに完成度は高い。パクリと呼ばれる場合もあるが、案外世の中のモノはたいていコレだろう。
著作権保護されていないものはフリー素材だ、と考えるのは道徳的にはうしろめたくても、法の下では許されてしまう。だから使わない手はない。
ところが、なんでもそうなんだけど、ソレが『売れている理由』を見誤ると、リアプライアイデアでも、まったく性質が変わってくる。
例えば某生地問屋がエスニック柄の生地を500反売ったと工場から情報を得たら、『エスニック柄』が良いと考えて、同業他社はその某生地問屋に勝つ理由を付加する際に、『エスニック柄』の廉価版を作ろうとする。
丸編み界の場合、安くしようと思う場合、重さがコストに関わるので、だいたい薄い生地を作ろうとする。軽くなればその分安くなるから。
そして薄くて軽い『エスニック柄』の生地を企画して、「某生地問屋ではこの柄が売れている」という情報と共にその薄くて軽いエスニックを売りに行く。
この時、某生地問屋のソレが本当に売れている理由が『エスニック柄』なのであれば、一定の効果は期待できる。
が、もしかしたら、売れてる理由が
・ある特定の顧客さん限定で
・ぼってりとした肉厚で
・少々高額でもしっかりとした持ち感の
・エスニック柄の生地
だった時、まず最初の『ある特定の顧客』の属性を外してしまったら、そのエスニックは売れる可能性は低い。
そして、そのエスニックが『ぼってりとした肉厚』じゃなかった時、安価だとしても、頼りない感じの仕上がりだった時、「安っぽ〜い」と思われてしまう可能性が高く、それがエスニック柄かどうかは別の次元で、売れない。
そして企画者は困惑するのだ、「なぜだ?『エスニック柄』は売れてるんじゃないのか?」と。
アイデアのリアプライは、決して悪い事じゃない。真似ぶは学ぶ。だけど、理由を見誤ると、パクっただけでスベって終わる可能性が高い。
生地メーカー諸兄においては、そこら辺を重々理解して、企画にいかして欲しいと思う岐阜羽島の朝なのである。
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