関係性の構築で得した話。

長いこと生地作りやってると、魔法みたいなことが起こったりする。それは、ポジティブにもネガテイブにも、双方ある。

新人時代は、わけもわからずガムシャラだったから、ほんの0.5kgの伝票上のズレでも工場に対して詰めてた。
糸を24kgしか投入してないのに、編み上がった生機が26kgとか、あり得んのに、そういう伝票が来たりするのだ。そして「なぜそうなったのか?」と問い詰めると、「知らねぇよ!魔法でもかかったんじゃねえの!?」と怒鳴られたものである。

これはなぜこんなことが起こるかというと、編み工賃で仕事してる工場は、少しでも工賃収入を上げる為に、編み上がりの生機を計量する時、霧吹きで水をかけたりして重量を水増ししたりする悪しき風習がある工場もあるという事実を後日知るのだが、「霧吹きで水かけたでしょ!?」なんて言っても「はいそうです」と認めるわけもなく、泣き寝入りするのが関の山なのが無知時代のネガテイブな思い出である。

そして、たかだか数百円の水増しをしないとやっていけない工場の気持ちや、それを詰めるような器の小ささを(いや、本来なら詰めるべき)、情緒的に飲み込んでなぁなぁにしていくことで、工場との間にうまれるなんとも言えない結束力に、僕はいつしか莫大小屋としてズブズブに浸かっていくのである。

要は、お客さんに売る時に問題がなければ、飲み込める内容であれば、飲んでお互いに納得して作っていこうという、ファジーな生産で工業と商業を繋いでいくことで、工場をぬるま湯で泳がすことに成功するのである。
しかし、これが続くと工場は甘えに転じるので、要所要所は締めていかなければならない。

ファジーな部分だが、基本的にはアウトということを認識させることで、「本来はダメだけど特別ね」の恩を積み重ねていく。そしてそこへ積み重ねた結束力が、今度は彼らの方から、僕を「特別な」状態にしてくれる。これは本当に、特別である。なかなか誰でもこの境地に至れない。

例えば納期。最初から無茶苦茶なことは言わない前提だし、僕の人と柄を理解してくれてる上で、どうしてもピンチの時、全面的に協力体制に入ってくれるのは心強い。魔法みたいなスピードで仕上がることがある。

そして単価面。これも普段からそれなりに工賃をはずんでいる前提で、双方付き合うメリットがあると認識してくれていれば、どうしてもピンチの時、全面的に協力体制に入ってくれる。魔法みたいな単価でやってくれることがある。もちろんそれぞれの恩を僕が受けた時は、きちんと報いる。別の仕事で余裕があれば還元していく。

要は持ちつ持たれつなのだ、一方的にどちらかがアドバンテージを得ることはない。
逆に言うと、最初から利用してやろうと目論んでる人に対しては、圧倒的に排除する方向で対応されるので、工場と向き合う時には常に対等を意識していくのが、経験上良いと思う今日この頃である。

ulcloworks

ultimate/究極の clothing/衣服を works/創造する ulcloworks

0コメント

  • 1000 / 1000