元請と下請。
最近更新が少ないから寂しいとありがたいお言葉をいただいたので、今週も駄文にお付き合いいただければ幸い。
相変わらずXは日々観察している。だから思うところは大いにある。あるけど、だからといってわざわざ否定するのも正直飽きたし、何年やっても変わらないこともある。だから僕らは粛々と現実世界で目の前の方々に向き合うことにして久しい。ゆえに発信も少なくなってきた。
変わらないなと思うことの一つとして、中間業者の存在に対する風向きだ。
いや、昔に比べたらかなり改善されたかと思う。少なくとも僕のみている人たちの中では。それでもたまに被弾する業界構造の中で不遇を訴える層の意見を見るたび、うまく表現できなんだけど、だからそうなっちゃうんじゃね?という気持ちが強い。
誤解を恐れずに書くと、被害者意識が強い。
もちろん、中間業者全てが良識のもとフェアに付き合える人たちばかりではないことは事実としてある。20年以上この世界にいて、理不尽の極みみたいな人たちと出会わなかったわけではない。
だから考え方として、自分の行動を変えていく必要があるという主張をされている方々には強く同意する。一方で、わざわざ自分たちが辛いってことを公共性のある場で書く必要があるかどうか、そこに疑問を感じる。
限りなく現場に近い方々、及び現場の方々がご自身の不遇を発信される際、我々中間業者としては我が身に置き換えて省みる必要があると同時に、クセの悪い連中にとっては感情の逆撫でとなり、狭い世界でもあるので「あいつネットであんなこと言ってたよ」が本人たちの耳に入らないとも限らず、それが狙いだとしても、おそらく良い着地にならないことが大半なのではないか、というのが発信を始めてから今日までの経験則。
僕も過去にそういった類の発信をしてた。確信犯的に。だから気持ちはすごーくよくわかる。ものすごくわかる。追随してくれる人たちも多くて心強かった。あの頃僕は、若かった。
自分がその経験を通してぶっ叩かれたかと言えばそうでもない。だからそのまま毒舌路線で突っ走ってもまた違う景色があったかもしれないけど、少なくとも今の恵まれた状態になる自信はない。ブレーキを優しく踏んでくれた仲間たちのおかげで、マイルド山本が出来上がった。
ブランドを発注者とした時、中間業者である僕らのような業者は元請になることが多い。そこから先の生地屋さんの先の工場さんたち、及び縫製関連の工場さんたちは、下請けという構造になるのだろう。
元請が下請けのために仕事をしていない、という意見を見かけて、下請けのための仕事とは何かを考えた。
作業がしやすい状態で発注すること?ただ手を動かすだけで報酬が得られる状態で仕事を回すこと?その上で競合である海外などより高待遇で工賃を飲むこと?
おそらく現場が中間業者に求めるところは色々あると思う。
少なくとも僕らは、関わる人たちが仕事して良かったと思ってもらえるよう尽力しているつもりではある。そしてそういう中間業者の方々も多くいらっしゃる。もちろん抜け漏れはあるだろう。でもそれはお互い様ではないか。
単価50円~100円の値上げを飲む飲まない、これらを原価組み入れて吸収するのか、収支が合わないからお客様に交渉するのか。物の出来不出来に関しては日々足を使って交渉しているだろうし、資材の不揃いや、あって欲しくないけど紛失や破損などはもしかしたら支給品にも関わらず中間業者が負担して補っているかもしれない。そんなこといちいち工場さんに伝える中間業者も少ないだろう。
そういう人たちが一括りで元請は下請けのために仕事してないと言われたら「じゃやってみ?」で終わりだ。前に出て材料揃えてファイナンス回して納品までトラブルに持ち堪えながら次の案件へと日々目まぐるしく受注をこなしていく人たちが、純然たる工場の窓口としてどれだけありがたい存在かは、数字の結果として前職時代に経験している。
確かに「悪人か」と思うほどの人もいる。そういう人は受託側がしっかりとやることやってれば時間が解決してくれる。(勝手にいなくなる)
だからわざわざ余計な波を立てるような訴えは、誰に対してなのか不明瞭で、下手したら発注者から自分のことを言っていると誤解を与えかねず、仕事を目減りさせるリスクが高い。
最後にもう一度書く。自分が変わっていくという意見には強く同意する。頑張ろうね。
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