資格。

業務歴が20年を越えた。もう立派なおっさんである。

昔は若い若いと周りの繊維戦士たちに言われたものだが、今は全く言われない。当たり前。


実務歴が長ければ、色々な修羅場をくぐるもの。トラブルの種類もかなりあるので、引き出しは多い。

そんな中、去年の春頃にお客様から「一緒にTESを受けてみないか?」とお誘いがあり、西の繊維猛者も「持ってる」とドヤられた過去もあるので、実力がペーパー上でどれくらいのもんか試すのも兼ねて受けてみることにした。


TESの詳しい内容は下記リンクご参照おなしゃす。

繊維製品品質管理士|TES:Textiles Evaluation Specialist

一般社団法人 日本衣料管理協会Japan Association of Specialists Textiles and Apparelこのたびは当協会無料セミナーにお申込みをいただき、 誠にありがとうございます。 申込みいただいた全ての皆さまにご参加いただけます。 会場参加の皆さまは、当日に会場にて受付をしてご入場ください。 Webセミナーの皆さまには、10月14日(火)にZOOMウェビナーの視聴案内をメール配信いたします。事前登録が必要となりますので、お手続きをお願いいたします。 なお、TES登録更新の代替措置申請時にご提示いただく参加証の発行は以下の通りとなります。 ・会場:当日現地にてお渡し ・Web:講演後にログイン記録を確認の上、メールにて配信 以上、よろしくお願いいたします。 *定員に達したため、参加申込みの受付は終了いたしました。2026年度より「TES取りだめ制度」を一部改訂いたします。通商産業省(現経済産業省)の告示に基づいて生まれた、消費者に供給される繊維製品の品質・性能の向上を図り、製造や販売を適切な方向に導くスペシャリストです。TES制度が発足して42年が経過し、2024年12月現在、TES有資格者は 8,032名となり、素材メーカ、紡績、染色・整理・テキスタイル、アパレルなど繊維、衣料に関する様々な分野で活躍しています。 試験は、短答式と記述式の2つに分かれ、短答式では繊維製品の品質管理の業務に必要とされる基礎知識を、記述式ではその応用力をためします。 日本衣料管理協会では、短答式試験と記述式試験のそれぞれに対応したテキストを用意しています。資格取得にはテキストの内容の理解が近道です。 資格試験は年1回、7月第2日曜日に実施いたします。詳しくはこちらをご覧ください。 TES資格を継続するには、協会の行う登録更新試験(通信による論文提出)に合格し、登録更新申請をする必要があります。東日本、中部、西日本(九州会含む)、北陸、中国の各支部ではセミナー、工場見学、勉強会などを開催しています。繊維製品品質管理士TES:Textiles Evaluation

www.tes-shikaku.jp


ネット上では自称『繊維ポリス』として主に自宅で洗濯物を畳んでいる際に発見した「これはあかんやろ」案件や、問屋様生地の生地組織や蘊蓄の誤り等を摘発していたが、無資格だったため、偽繊維ポリス疑惑が出てもアレなのでこれはいい機会だと思ったのもある。


結果、昨年は『繊維一般知識』『製造品質知識』『流通消費』『トラブル時の対応記述』の4科目に合格。しかし業界の未来に関する熱いテーマだった『論文』は、渾身の力作で自信があったにも関わらず失格。

つまり、実務関連はクリアしたものの、発信者としては恥ずべき『論ずる』ところを落としてしまった。これは恥ずい。超恥ずい。


このため、昨年の試験結果発表から1年間『繊維ポリス』改め『"準"繊維ポリス』として、公で取り締まることを控えながら、日々実務に励んでいた。もちろん以前から粛々と励んではいたが、ネット上では少しおとなしくしていた。(発信が減っているのは他にも理由があるけど)


一緒に受験したお客様は三年かけて少しずつクリアしていたので、昨年は論文のみの受験で合格。おめでとうのお祝い会をした。西の繊維猛者に論文を落とした旨報告したら「一発合格やったで」とドヤられたので、これはもう引くに引けないと思い今年も受験。


年が明けて色々あり、TES試験のことをぶっちゃけ忘れてたので、エントリーはギリギリだった。また昨年にも増してありがたいことに実務が激しく、論文って実際どんな予習したらいいのか分からず、ほぼぶっつけ本番で試験当日を迎えた。

問題用紙が配られて裏面に伏せてあるが、うっすら見える文字に「JIS規格」とか「ISO規格」とか書いてあり、(そんなもん勉強してなかったら無理じゃね?こりゃ完全に終わった)と思った。もちろん勉強してない自分が悪いのだけど、また一年”準"の字が外れないまま、繊維ポリスが笑わせるぜと醜態を曝け続けることになるのかと、半ば諦めの状態で試験スタート。

問題用紙を裏返し文書を読んだら奇跡が起きた。合格を確信した。ラッキー問題だった。実務で常日頃ぶつかっているトラブルの種でもある内容だったからだ。


とは言え下駄は履くまでわからない。緊張しながら結果を待った、と、言いたいところだけど、正直受験したことを忘れてた。


結果は合格。とりあえずほっとした。これで晴れて"準"繊維ポリス改め"正"繊維ポリスと表記することが許された(自分基準)。


受験して思ったのは、実務上起こっているリアルと、テキストで問題にされる模範解答のある事例はドンピシャで一致しない。だから現場が長く経験とカンだけできちゃった人は少し苦労するかも。経験とカンに加え理論的に理解してトラブルシュートしている人たちは書いてある内容を応用したらおそらくそれほど難しくないなのではないか。論文以外。

逆に言えば、実務経験乏しく、テキスト上で学んだ座学だけでこれらの資格が取れてしまうと、現場で起こるリアルのトラブルにはおそらく応用しにくいんじゃないかしらん。

事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだって青島も言ってた。彼には世界陸上の看板として今後も活躍してもらいたいと心から思っているから、今回の引退宣言は撤回されることを望んでいる。


さておき、たまに座学の講座を持たせていただくこともあるが、受講者の方々はその場ではアハ体験的に楽しんでくれるものの、これらの知識を用いて現場で問題解決できているかは不明である。

たかだか1-2時間程度の話で、20年の経験を身につけられてもこっちが戸惑うが、わかった気になって実務を机上でやってしまうことを僕は一番恐れている。

ネット上に蔓延る、やっすい上に誤りのある繊維知識で釣ってるアカウントが言ってたとか言っていちゃもんつけるややこしいエセプロになっちゃダメなんだぜ。

身をもって体験されたし。学びを元に自分の頭で考え出した答えでリアルの問題に対峙せよ。失敗して痛い思いは誰もしたくないだろうけど、未経験の資格保持は免罪符になり得ない現実を知らないと、現場の人たちも着いていこうって思ってくれないから。

大事なのは資格を持ってることより、実際に物事が進むことだから。


TESなんて、持ってないと入れない会社なんて繊維業界にないし。そりゃあれば有利な面もあるだろうけど、持ってる割に使えねぇななんて思われるよりはまず実務からじゃないかな。

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