簡単に値切らないで欲しい件。

原価云々発言で色々騒がしいけど、ブランドってそういう価値を提供できなかったら服に夢なんてないよね。とかね。まぁね。

しかし工賃アップも叫ばれている中でこういう流れになると作る側っていよいよ苦しくなる。縫製工賃がわかりやすいから結構表面化してるけど、生地もね、結構あるの。色々と。


生地単価を伝えると、すぐさま「高いねー」って言う人おるでしょ。

ローカル市場の単価に慣れちゃってんのかなんか知らんけど、そんなん言うなら国内の生地メーカー呼ぶなっつー話でさ。「いやぁ、やっぱ素材を差別化していかないと付加価値がー」とか言って「国内生地を見せてくれ」って言うから行って見せたら「高い」ってなんなんだ。

想像力が足りなすぎる。っつーかお前誰だ?ってなる。


まず、生地メーカーさんの粗利率って、自分の商売でもあるからあんまり大声では言えないけど、恥ずかしながら、かなり低い。

率で計算してない所がほとんど。だって率にすると原価が高ければそれなりにマージンも多くなるでしょ。そうするとほぼ完全に単価が合わないって言われる。

例えば原価が¥350/mくらいのコストで作れたなら、率で利益とったって20%載せても¥87/mでしょ。安い分には買う側は文句言わないだろうけど、これ1,000m売っても¥87,000の粗利しか出ないって悲惨だと思う。その1,000mの受注を獲るために必死こいて提案して、フォローして時間かけて生産して粗利がそれだけって人件費出てないから。

それに最近は国内の仕事でなかなか1,000mのオーダーが出る商売自体が少ない。


逆に¥1,000/mのコストだったら率で20%載せたら¥1,250/mになるから粗利は¥250/mになるけど、そんなに乗っけると「高い」って言う。だからせいぜい¥150/mとかの粗利になったりする。この粗利計算に特に損益分岐点計算などのロジックはなくてほとんど肌感覚。これは相当ヤバい。


まぁ突っ張れば良いんだけどね。生地屋なんてコンペさせられる悲しい職業だからやっぱ単価に対しては折れる人が多い。し、その性質を突いて値切ってくる人が多い。


だから案件いっぱい抱えてないと商売としてキツい。だから売り上げが高い営業マンってめちゃくちゃかかりまくってるし、発注いっぱいかけなきゃいけないし、営業めっちゃいっぱいかけなきゃいけないし、こりゃ接触営業がセオリーになっちゃうマッチョな体育会系のノリが変わらないわけだ。


で、オーダー量がある客先に集中したくなるから、少量しかできない客先が疎かになってそういう時ってだいたいトラブルからそのトラブったクレーム金額をのんで何やってるかわからん商売になったりする。

かわいそう。
あんまりいじめないであげてね。

僕はすぐに「高いから安しろ」って言う人はお付き合いしていない。無理だもん。食えない。
だから出入りの生地屋さんをたまには労ってあげてほしいなぁっていう独り言。

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