お客様は神様じゃない、大手のお前らは何様だ。

昨日、人生初の火鍋に挑戦していたところ、とても憤ることが起こった。



2年前に、某大手アパレルメーカー一団総勢25名を産地案内したことがあった。

その時僕がアポを入れて見学させてもらった工場は4社。どの会社も前職時代に大変お世話になり、事情を説明したら快く受け入れてくれた。


このツイート、誤解が無いように言っておくと、そもそも『学ぶための工場見学』自体は大歓迎だし、それが商売に直結したら最高だし、アパレルメーカーと工場の関係が深まればもう言うことなしだ。それを期待した同社の社長から直々に預かった依頼である。当然同社長も動向されていた。


この2年前の勉強会の発表会を開催するらしく、この工場ツアーを企画した社長から直属の部下へ発表会開催の指示が飛んだ。

その社長直属の部下から、当時同行した縫製工場の営業担当に「当時訪問した工場の責任者から30秒程度の動画を撮って送ってもらえ」という指示が行ったようだ。

そしてその縫製工場の営業担当から僕のところへ「当時訪問した工場の責任者から30秒程度の動画を撮って送ってくれ。」と電話してきた。音声のコピペで情報を伝えてきやがった。


まず、当時同行した縫製工場の営業担当へ僕から苦言。

僕「丸二日現地案内させてもらった後に、別日程で2回も訪問展示会もさせてもらって商売成果はほとんど無い。なのでこれ以上こちらが先方に対してできるサービスは無いので断る。」

工場営業「いや、山本君やのうて、そん時の工場さんたちに頼んでくれへんか?」

僕「僕というフィルターを通すならなおさら断る。工場に対して失礼だ。」

ここで僕は人生初の火鍋の段取りが忙しく電話を切る。想像以上に肉が届いたからだ。


するとしばらくしてまた入電。

工場営業「そしたら僕から工場へ連絡するから担当の名前教えてくれへん?」

僕「当時名刺交換しているはずなのでご自分で調べていただきたい。と、いうより、そもそも何の動画を撮るの?」

工場営業「いや、工場の自己アピールとか、得意なこととか・・・」

僕「何のために現場行ったの?それは本人たちが当時聞いているし、それぞれがまとめているはずなので不要では?」

工場営業「・・・・」

僕「というか、やっぱり直接電話してその依頼するのもやめて欲しい。一社あたり何時間もかけてたくさん説明してくれたのに30秒でまとめた動画くれってこと自体めちゃくちゃ失礼だし、今後工場見学を受け入れてくれなくなるから、本当に学び活かしたい見学を希望する人たちが不利になる。」

これ以上言う事はなかったので僕は電話を切った。そして手元に大量に届いた肉は牛だと思っていたら羊だったことを知る。


しばらくして、また工場営業から連絡が入る。

工場営業「そしたら、その時のサンプルを送ってくれ!」

僕「全てハンガーにしてお渡し済みだ。そちらで探してもらうように言え。もうこの件で電話してくるな、今火鍋食ってるから。」


まったくひどい話である。

実はその見学二日間の為に、事前に工場を周り、まずは僕が見学主旨を全工場へ伝えている。そして大所帯の為、どのような流れで工場を見てもらうかプランを立て、電話などで打ち合わせを重ね、当日は工場内をスムーズに回れるように事前のペーパー資料も用意して望んだツアーだった。

そしてそのツアーの後、別日程で各工場から資料を一旦弊社でまとめ、それを展示会形式で同社に訪問し展示&説明。


こちらや工場側の提案資料が物足りないものだったから成約していないという可能性もあるので、商売になっていないこと自体は特に問題は無い。

併せて、ソースがどうであれ類似品が同社店頭に出ている事実もこちらは把握しているが、これは憶測の範囲を出ないので言及しても水掛け論。

この辺に関してはまた別のテーマで書くつもり。


一番の問題は、彼らが『学ぶ』為に、たくさんの人と時間を要した。その協力してくれた人たちの善意をまったく自分たちの糧にしていないのに、当たり前のように工場などの仕入先に対して「時間や情報を改めて無償提供しろ」と言ってくる態度だ。

間に入った工場営業も同情はするが、そもそもそのような感情が相手に生まれるかもしれないという想像力に欠けている時点で、営業は向いてない。

しかし、このような理不尽な要求に対しても「お客様だから」と考えてそのまま下請けへ言ってくるような営業は仕入先の信頼など得られるはずもなく、またそのように言ってくる客とも言えないような人に無償で良いように使われてしまうので、会社としては給料を払っても無駄な動きばかりしているように見えてしまう。


まず先に態度を改める必要があるのは、ほかでもない、同アパレルメーカーの社長直属の部下以下学んだことを実態に変えていない一味であるが、そのレベルの人たちを相手に「お客様」として担ぎあげてしまった我々工業側も同罪である。


我々工業は彼らとの商売に目がくらんで、大切な資源を無償提供してしまっているのだ。

接待交際費を使って飲み食いさせ、貴重な時間を割いて工場見学させ、自費開発のサンプルを提供し、結局注文が来ないなら工業が儲かるわけないのだ。

またアパレル側も、この商習慣が改善されないことには、いくら工場見学をさせたところで、いつまでたっても商品開発という『大義名分』をかざしてただ地方へ美味い飯を食いに行っているだけになってしまう。


全てが全て、まったく無駄になっている訳ではないらしいが、正直、産地を回って似たようなことをしている大手アパレルと取り組みが始まって商売ができるようになった工場の話は聞かない。


残念なのは、その工場見学の後にあった展示会形式の商談会でも、それぞれのブランド担当者が「◯◯はどんなのピックアップしたんですか〜?」など聞いてきて、その品番を見せると「じゃそれ全部お願いしまーす♪」などとふざけたことを言ってくる時点で既に勉強したことが身になっていないことが見て取れる。

しかも今回2年越しに開催される同社の勉強会に対する発表会に際して資料を再提出してほしいと言ってくるというのは、完全に旅行しに行っただけの動かぬ証拠だ。何も学んでいない。これは許しがたい。なので同社案件についてはいかなる経由で弊社に依頼がきても一切をお断りさせていただく。


また、以降、弊社へ工場見学のアテンドを希望する企業については、全ての費用およびプラスα各工場への手数料を請求させていただこうと思う。

その壁を乗り越えてくれる人たちをアテンドする際は当然、工場側にも本気でやってもらう。僕もきちんと満足してもらえるように準備する。


現場からは以上です。

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