工業にとって招かれざる客の見分け方。


普段仕事してると色々な人たちと出会い、そしてはからずも招かれざる客に遭遇することが稀にある。

「それどう考えても実務に結びつかないよね?」っていうような事に対して壮絶な使命感を持って当たっている人。まぁ彼ら自身、社命でやってるんだろうから『それぞれの任務』として全うしているつもりで、悪意はないんだろう。けど、実際製造現場にとっては結構煙たいもんだったりする。


例えば、多くのブランドを抱えている大手会社の『社内向け素材展示会』と銘打って生地産地から工場を呼び出し、自社内のためだけの合同生地展示会をさせる。

そして呼び出された生地工場は自費で遠路遥々サンプルを持参し、ハンガーラック2本分程度のスペースを与えられ、ブランドの企画担当が回ってくるのを一日中待つという、参勤交代のようなイベントを担当している社長室室長兼企画室室長みたいな意味不明の肩書きの人だったり。


その『謎トップダウン案件』にいやいやながらゾロゾロと出てくるブランド企画者たちの、興味ないのにさらっと生地を触りながら、彼らにしかわからないような謎の比喩方で「〇〇みたいなやつってあります?」とか言ってくる人たちだったり。


そもそもそういう商売やる気ゼロ状態で来る人たちは、参勤交代してる人たちが工場を離れてサンプルを自費で持ち込んでいることに感謝の気持ちさえないだろう。

しかしながら地方工業は少しでも商売の可能性があればと、ほとんど可能性のない宝クジのようなそのオファーを受けるのである。これはなかなか涙ぐましい。


そんな心優しい地方工業の方々に朗報である。

奴らの中に商売やる気あるかどうか見極める方法、あり〼。


まず一番手っ取り早いのは、『何がしたいのか?』を明確に示せない人だ。

あーだこーだ言って資料を出させまくる。スワッチだけで山ができるくらいサンプルをピックアップする連中だ。この手の人たちは完全に決定力に欠ける。断言する。

だからピックアップが多い人はそもそも売る力もないので、大した権限はない。

そのくせ「ショア感が出せる生地ない?」など謎の比喩方を振りかざし、自分でハンガーラックから生地を探そうともせずに椅子にデーンと座ったままスマホばっかりいじってるやつは以降出入り禁止でOK。


次に肩書きが意味不明なポジションの人、さっきの社長室室長みたいな、それって社長じゃね?的なツッコミどころ満載な人。

この人は多分社長特命を受けて社全体のためにインフラ整備すべく働いている人なんだと思うんだけど、これまた決定力がない。

結局はブランドのディレクションしている人が大まかな方向性や素材感などを選定していくので、特命室長がいる手前ではこちらの提案を聞いたフリしてても、直接商談しだすと全く意に介せずという雰囲気を出されて「なんなんだ」という感覚に見舞われる。

だから特命係長は裏では悪をやっつけているのかもしれないが、昼間の商売にはほとんど、いや全く影響力がないので、笑顔でお断りする事を勧める。


残念ながら、大手のほとんどは仕入先を見下している。

これは、彼らの中にはもちろんちゃんとしている方がいらっしゃる前提の上、事実として言い切る。見下してくる人は非常に残念だが多い。

看板がデカければ、寄ってくる業者も多いので彼らは自然と「選ぶ側」になる。

そのうち慣れてくると、「言うことを聞くやつ」だけを集めだす。時には無茶ブリして仕入先が事故ってもクレームとして飲んでくれるような完全なイエスマンたちを揃えるようになる。なにやっても許される環境が出来上がっていく。

こうして招かれざる客に仕上がっていく。

もちろんこういう育て方をしてしまった側も悪い。それは反省していくべきだ。


彼らに悪意がないのが余計にたちが悪く、リアクションを間違えば「対応が悪い人たちだ」と世間に言いふらしたりするので、上手に立ち回って無駄な時間を浪費しないよう、製造工業諸兄には気をつけていただきたいものだ。

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