見た目。
7月に入ってから連続で見た目が「チャラい」と言われたのでもう繊維ポリス改めチャラ男でいいっす。
さて、近々久々に繊維のことを人様に教えるというチャラ男にとっては荷が重すぎる大役があるので、今回はタイトル通り「見た目」の話。
といっても、人の外観に関する話ではなく、生地などを染める時の色出しに関わる話。
↑この中に色々書いてあるけど、繊維業界に入隊して日が浅かったり、染色工場さん行ったことない人は多いと思うので、依頼色がどうやって生地染めに使われるかを今回考えていきたい。
最近はデジタルの発達でメールだけで染色色見本を提示される依頼も増えている。
例えばメールに、ネットで見た服のこの色ええやんと思った画像スクショして貼り付けするなど。「添付画像のトップスの色目参照ください」的な。
いや無理。そもそも最近のテキストコミュニケーションだけで全て完結しようという流れ自体が若干繊維製造にとっては無理がある。メールに品番ズラーっと書いて「こちらのスワッチを二部ずつと単価を急ぎくれ」みたいな。それさー、色付き台紙でどっかの問屋さんがざばっと持ってるやつじゃねぇしいちいち作らなきゃいけないし単価もロットがわからなきゃ別注の見積もりなんて出せねぇからまじそれ今お前メールだけポンって入れて「急げ」って何様なんだまじぶっkrs
相手は人間です。感情のある生き物です。みなさん気をつけましょう。
せめて電話入れてあげて。全然違うから。
話を色に戻します。
メール添付の写真画像では、相手のブラウザ状況によって「見た目」の色目が違う。よっぽど信頼のある関係かつ長い付き合いで、あーはいはいお前これ系だったらこの感じの色っしょみたいなノリで伝わる相手以外は、そんな依頼したら基本的に担当各は「ハァ!?」ってなるのでご注意を。
もちろん理解ある人なら依頼者の好みを探って自分でその写真イメージに該当するような色チップ探して染色工場に依頼できたりするんだけれど。これはまぁ、できる人はなかなかやり手かと。過保護とも言うかもしれない。言わないかもしれない。
次、メール添付じゃないけど一般的なプリンタでプリントアウトした写真や画像。これがダメな理由は先述のnoteに書いてあるけど、染色工場は色出しのための色データ読み取りをCCMっていう機械で読み取って色相を洗い出すので、プリントアウトした写真だと拡大すると4色と黒のドットの集合しかないので、パッと引きで見たのと違う色の粒の集まりになってるから。CCMもどれ拾っていいかわかんない。
なので「でも写真送っただけでちゃんと色見本として染めてくれたよ」って人、いると思うけど、それは受け手がその「見た目」の色に近い色チップを探して染色工場に送ってるからだよ。ありがとうって言うと、みんな幸せになるよ。
次、色見本としては生地なんだけど、混紡でベタに染まっているようで実はちょっと色が散ってるやつ。これはなかなか、業界人でもやってしまってるケースが多い。
染め物って繊維属性が違うと手法が変わるので、同じ色相で別属性の染色をしても、若干ズレがあったりする。またその微妙なズレが、「見た目」の色の中でニュアンス持ってたりすると結構厄介で。
目に見えてる風の色相を、これまた近いベタ色で他のチップを探したりするから。CCMで読むって分かってないと生地屋さんもスルーで染色工場へGOなので、染め上がって「あれ?」みたいな現象が起こりやすかったりするけど、染色工場さんもプロなので、そこらへんをサラッとやってくれる染色工場さんいたら大事にしてあげてほしい。稀有。
と、「見た目」の色は対象がなんであれ、人間の目が認識することなので、誰が見ても同じってことはない。理屈としては光を跳ね返し(または補色を吸収し)て見えている色相がその「見た目」の色なので、人によっては弱い光の波長があるかもしれない。または天気で光の波長が違うときや、国によってスモックなどで特定の波長が遮断されている可能性とか。
そうなるとパッと「見た目」の色って手堅い共通認識のようで実は脆い。
ちなみにここまで書いた「見た目」の色のことは俗に「一見色(いっけんしょく)」と言うことが多いので覚えておくと便利。
色見本対象が画像とか紙に印刷されたものだったりグレー系だとありがちなのが杢グレーとかの場合、手元にそれしかなくてどうしてもそれでベタ染め依頼する時は「この一見色で」って言えると、相手はその近しいところで色見本を別途探す必要があることを理解するはず。理解してあげてって願望も込めて。
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