横。

だいぶ時間が経ってしまったけれど、新社会人の皆様、特に同業界の皆様、ご入隊おめでとうございます。

繊維業界の荒波、またはときにそれが許されるんだっていうベタ凪を共に楽しんで波乗りしていきましょう。


GW前であと一週間ほど気張る必要はあるけれど、知らない人たちと知らない仕事をしているとだいぶ疲れたこの3週間だったのではないかと思うので、連休明けからのアクションも含め来週の助走と、少しだけその背中を押すことができたら幸いと思い、勝手ながら僕からメッセージを送りたいと思います。求められてないかもしれんけど。


自分語りをするのは老害感出てしまうからアレだけど、振り返れば20年、この千駄ヶ谷を中心に繊維業界の川上から中下付近まで色々と見てきて思うのは、世間(業界)は狭いということ。

良くも悪くも、実務を通して受け取られた印象で人の噂が流れる世界なので、相手との関係構築は非常に重要なスキルであると考えている。


お客様も仕入先様も、または社内でも、実権に近い人は概ね会社の中でエラい人だしだいたいが目上の方。物事をスムーズに進めたければこれらの人々に気に入っていただけるかどうかで変わるし、その後の実務遂行や業界キャリアにも大きく影響する。

個人的体感としては、生え抜きでのしあがった実力者の多く(とは言え全体の中では少数の人たち)は基本的に『尖り』を好む傾向にある。

仕事なので当然成果物評価はある。その成果物評価を上げるには相手が望むことの解像度を上げて取り掛かる必要がある。相手が望むことの解像度を上げるにはコミュニケーションを多くとる必要がある。この、コミュニケーションを多く取るアクションがルーキー時代は難しい。仕事は降りてくる(与えられる)ものだという感覚があると、彼らの好む『尖り』はなかなか出てこないかもしれない。


昨今は属人リスクを避けるためにフォーマット化されていく業務が増え、通り一遍マニュアル通りにやっていれば給与が担保されるようになった。それは素晴らしいことかもしれない。でもそれで済む仕事ならおそらくその人である必要もなくなる。

誰でも良いならあなたである必要もないので、そう考えるとやはり『尖る』のは有利に働く可能性が高い。


一方で、中には上という立場を利用して上下関係をしっかりつくって理不尽な評価をしてくるような人もいる。というか多い。これは困った現象だけど、時代がつくったモンスターたちはその立場を守るのに必死だから仕事のための仕事のための仕事の・・・を執拗に求めてくる。それが彼らの『仕事』なので、不満は多くストレスも溜まるけど、そいつ多分そんなに仕事できないし会社としては仕方なくそこに置いてるだけだからあんま気にしなくていいよ。簡単にクビにできないからさ、会社って。


この属性を見誤るとちょっと後が面倒になるから気をつけてね。


ヒントはゴールが見えない仕事の投げ方してくる人。地雷の確率高い。ルーキーの時はそもそも仕事のゴール自体がわからないってことの方が多いからとりあえず従うのがセオリーなんだろうけど、そのうちわかるようになってくると思う。

冷静に俯瞰して、どう考えても筋が通らないことを押し付けてくる場合は、きちんと筋の通った自分なりの意見を言ってみるといいと思う。答えに困るから。そんな時に「俺は部長だぞ!」的な、上下の立場を利用した内容とは無関係のゴリ押しをしてきたら、「だったらなんですか」くらい言ってもいいかもしれない。

ゴマをする必要は特にない。その人はそれしかできないだけ。多少生き辛くなるかもしれないけど、誰からも好かれる人はいないので、そういう人もいるなっていうセンサーが働くようになるための経験だと割り切って前に進もう。


逆に、仕事を楽しんで案件も事欠ないパワフルな実力者はゴマスリを好まない気がする。変に謙りすぎると、意図せず言葉が丁寧になりすぎて内容がぼやける。要件をクリアにするためにも、適度に距離を詰めて言葉遣いがコミュニケーションのノイズにならないよう心がけたいところ。


ものづくりの現場の人たちとの接し方は電子テキストのやり取りだけで済ませるのは特におすすめしない。現場は肉体労働も伴っているので、常に端末のそばにいるわけじゃないし、顔が見えない相手を基本的には信用しない。熱を感じられない案件は後回しになる。仕事でそれはダメだろと思うけど、彼らなりの筋を通すべき相手が他にいるから、一見さんでサラッと依頼(それが少しでも無理が絡んでいれば尚更)をメールで受けたところで、「誰やこいつ」でスルーされる。

現場に出入りする人間には勝てない。だからこそ適宜現場に行くなり、電話するなりで熱を感じられる付き合い方を続けていくと、良好な関係が生まれてくる。もちろん手ぶらじゃなくて依頼案件も必要だ。数字もしっかりと残せると心強い味方になってくれる。両方大事。数字だけだと人が気に入られてないだけで断る現場も多い。


総じて、気に入られるのが大事って話だけど、これはヨイショして持ち上げて気持ちよくさせるのが正解とも僕は思っていない。持ち上げることは無意識に上下をつくる。相手に上だと思わせるのも少し違う。冒頭でエラい人と書いたけど、ちゃんと働いてる人間みんなえらいから。無駄な縦関係は後々自分を苦しめるし相手を間違った方向に進めてしまう可能性もある。


基本的に、みんな同じ人間なんだから、横の関係でオッケー。

買い手側になった人が一番気をつけなければいけないのは、勘違いして仕入先様に対して上からイってしまうこと。横とは書いたけど、横柄なのは違うからね。

敬意をもってお互いの損益を尊重しつつ歩み寄り、良好な関係をつくって繊維業界ライフを楽しんでいただきたいと切に願い、ビール飲みに帰ります。

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