業界内の壁。

ファッション業界と言っても、実は業界内で壁はいくつもある。

糸作る人たち、織る人たち、編む人たち、染色加工の人たち、切る人、縫う人、服で加工する人、仕上げる人。

細かくあげればもっとある。多分みんな知らないと思うけど、織る前に整経だけする人もいる。

編む前に糸を巻き直すだけの人もいる。みんな職人だしみんなそれで生計を立ててる。

関わっている人がたくさんいるから国産は安くはならないってことを今回言いたいわけじゃない。

それぞれの細かく分けた業界で、それぞれの常識や商習慣がある。


繊維業界とくくれば一つなのに不思議なものだ。

アパレルメーカーの企画も布帛、ニット、カット、小物などで分かれているケースが多い。

そして布帛業界とニット業界とカット業界で横の繋がりは、意外とない。


今日は色々あって、ニット(セーター)向けの糸を取り扱っている丸安毛糸さんにお邪魔した。

ニット業界とカットソー業界は一般の人たちから見ると違いがわかりにくいと思う。

僕が主戦場としているカットソー業界は、主に丸編みという編みなんだけど反物になるような生地を取り扱っていて、その生地をカット(裁断)してソー(縫う)からカットソー(cut&sewn)業界なのである。

一方ニット業界とは、セーターを想像してもらえるとわかりやすいだろうか。

手編みだったり、糸を編機にかけたら袖とか身頃とかのパーツで編み上げられて、それぞれをリンキングという特殊な方法で繋ぎ合わせて服にしたり、最近ではホールガーメントと言って糸からそのまま服が編み上がるような機械で作られる編まれた服のことをいう。


今回は丸安毛糸さんが開発された、超撥水の糸を見せてもらいに行ってきた。

説明するより見てもらった方がいいと思うので少し分けてもらった編み地で動画を撮ってみた。

これ生地で何かスプレーとかで撥水剤を吹き付けているのではなく、糸自体がこの機能を持っているので編み地なのに水を弾き、効果は洗濯をしてもほぼ落ちない!という優れもの。


担当の織田さんが目の前で見せてくれるデモンストレーションが凄すぎて途中から声を失いながら見てた。ちょっとそれ水掛けすぎですよ!って言おうと思う前にドバーッと掛けちゃう。そして弾く。


カットソー業界だと、生地を仕上げる時にこのような撥水加工を施すことはよくあるのだが、洗濯すると効果がなくなる。だいたい5回くらい洗うと普通の生地になる。

なぜなら樹脂系の溶剤を表面に塗布しているようなものなので、洗えば落ちる。

しかしこの超撥水の糸、某社の試験によると100回の洗濯でも効果は変化なし。

(※丸安毛糸さんとしては20回洗濯までの試験結果しか公表していないがこちらはもちろん効果に変化なし)


こういう糸があるってことを色々と調べないとわからないくらい、業界には壁がある。

でも良いものを見つけて応用して新しい商品作っていきたい。

だから大きなアンテナを張り巡らしていこう。

まだ知らない糸や技術がきっとたくさんあるから。

閉鎖的な工業体質を脱出して新しい市場を見つけていくのも工業が生き残る一つの方法だ。

とりあえず、生地のサンプルを3つくらい考えて前職の工場にサンプル依頼したよ。楽しみ。


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