改善したいという欲。

モノづくりはいつだってトラブルのタネが潜んでる。僕らはそいつらの芽を早期に発見し潰すことで万事なにもなかったかのように納品を日々繰り返している。

しかし、トラブルは起こる。
そしてある種の定型化したトラブルもまた、改善策がわかっていても、起こる。これは本当に不思議なことだと思われるかもしれないが、起こる。

例えばインド綿を使用した場合、先んじて言われるのが「必ず飛び込みでます」だ。飛び込みとは、糸の中に異なる繊維またはゴミが混入することや、編んでいる途中で異なる繊維やゴミを編み込んでしまうことを言う。インド綿の場合、糸に異繊維またはゴミが混入するのが通例(基本的に手摘みだから)で、前もってアナウンスすることで、製品に混入した場合に取り除く補修作業を加味した上でコストを出したりすることが多い。これはもう、原理的に避けようがないので、後からなんとかするしかない系のトラブル?だ。

本当ならこういうの、事前合議で『そういうもん処理』して欲しいのが本音だけど、そうは問屋がおろさない。

なので後から僕らのような中間業などが基本的に対応処理していく。

だが、改善出来るのに、そのトラブルが起こるよと事前アナウンスしてくる現場もある。

例えば先染無地。
普通丸編みは無地の生地を編む場合、基本的には生地で染める。だけど色々な事情があって、先に糸を染めて無地を編む場合も、稀にある。
丸編みというのは、複数本の糸を一気に螺旋状に編み立てていく量産構造だ。その性質を利用して、ボーダーなどの柄編みと思われている生地が出来ている。一般的な編み組織でボーダーをやる場合、それは糸に色がついているだけで、編み柄的には無地だ。

それを踏まえて、先染の糸で無地を編んだらどうなるか。
はい、こうなる。

これはいささか極端な例ではあるが、これ、糸の染にムラがあるから、このようにボーダー調に見える。
なんでこんなことになってしまうかと言うと、詳しく書くと長くなりすぎるし、専門的すぎるので割愛するが、糸を染める時の構造上、濃いところと少し薄いところが出来てしまう。で、これを小口オーダーの場合、一本の糸を複数に小分けして編むので、濃い色の糸と薄い色の糸が一緒に編み込まれてしまい、このようにランダムな濃淡のボーダーが出来上がってしまうのだ。

これ、実は避けられる。避けられるんだけど、地域によっては設備的な問題や、「そもそも附属使いでしょ?そんなの出てもわからんよ」といった企画を考えずに生地になれば良い的な発想からこういう事態を招いたりする。
ある意味、人災である。

そして、そういう意識レベルの人たちは、事前に説明してくる。「必ず横段出ますよ」と。そう、むしろ横段出すよくらいの勢いで言ってくる。こっちも経験があるのでなるべく避ける方法を知っている。だからレクチャーもする。だけど、それでも防御線を張る。そして案の定、出る。
たぶん、アドバイス聞いてない笑

良いものを作っていきたい、お客様が喜んでくれるように努力して、自分たちの技術を高めていきたい、そういった欲が欠如した、そういう人たちもいたなぁという話。

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