生地や糸を染めたい時の色だしの注意。
今日久々に、まさかのガムテープで色指示してきた方がいらしたので、改めて色出しの注意喚起。
今荷物で届いたんだけど、二段目の色見本、ガムテープってマジ笑わせてくれる。元見本、紙はダメだからね。基本的に。何度も言うけど。 pic.twitter.com/oINCpVMcwd
— 山本 晴邦 (@HARUKUNI_Y) May 14, 2019
なんで紙や写真の色出しがダメなのか。
それは色を読み込むのにCCM(コンピューターカラーマッチング)システムを使うからである。
CCM。この黒い蓋みたいな所の中にある円の中心あたり、小さな長四角のところに色見本を挟んで蓋をする。そしてそこに光を当ててその色見本の構成色を読み取るのがCCMの仕事だ。
光を当てて色を読み取るなら紙や写真でもいいのでは?と思うでしょ。昔書いたブログも参考にしつつ解説していく。
ここでも触れているように、写真や印刷物が対象だと、拡大すると色の構成はこのように映る。
これを引きで見ると人間の目では色が混ざり合って見えて、対象色に見えている。が、コンピューターにはこのように見えている。従って色相を拾い上げることができない。だから写真や印刷物では狙った色味を抽出することが不可能なのである。
例外としてpantoneは色番号でCMYKの調合率がわかるので色合わせを数字で出来たりする。
では、紙自体に色が付いていたら良いのでは?となる。まぁこれに関しては正直、完全にダメか?と言われたらそうでもないのだが、『演色性』という厄介な目の錯覚によってこれもCCMでは顕著に現れる色のミスマッチが起こる。
演色性とは色は同じでも光が当たって反射する割合が異なると違った色に見えること。詳しくはこのnoteを参照してもらいたい。
で、紙は、染めたい対象の生地と同じ光の反射率ではないので、これもCCMが読み取ったデータにそって染色をすると、対象の生地が全く違う色で染め上がって見えてしまうことがある。
「それ合わせるのが染め屋の仕事でしょうが」と言われたら、まぁそうなんだけど、その色を合わせる努力をした上で、何度も何度も目視で色を調整していくために時間を取られてしまうことを覚えておいていただきたい。
色指示をするときは、出来るだけ染色対象と同じ組成のカラーチップで依頼すると、CCMで精度の高い染料調合ができるので手間はかなり省けるのだ。
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