雨の計算。

Tシャツ1枚あたり水の使用量が2,700Lの神話は未だに使われているのかと驚いたので、この数字の根拠となった話を少し。


過去のブログも参照してね。


で、2700Lに対しての根拠ってのは実際測ったものではなくて、年間降雨量と汚染希釈水という循環水も計算上含めると綿花栽培に使用する水量はそれくらいになっちゃうかもねっていう割とふわっとしたもの。降雨量を水の使用量計算に入れてしまうと、コーヒーとかカカオとかの比較対象がとてつもなく巨大な数字を出してしまう。


で、Tシャツ1枚当たりの水は、純粋に人間が蛇口を捻って使用する水量だけ捉えると実は中央値で500Lくらい。これは染色工程も含めるからTシャツ1枚2,700Lを大きな声で叫ぶのはちょっと大袈裟がすぎるかなっていう印象。

とはいえ平均500Lも大変な量なんだけど、水は回るしね。


この記事を書くきっかけになったX上のポスト主は悪意ないと思うから別にそれ自体を叩いてマウントしてやろうかなんてつもりはさらさらなくて、ただ自称プロ(本業らしいからプロなんだろうけど)が、危機煽動型だと「なんか繊維業界ってやっぱ推せねぇわ」ってなっちゃうのは寂しいからさ。あと根拠も薄いしね。


で、綿花相場の高騰については理由として一部地域の水不足が深刻だという話もまったくの嘘ではないんだけど、世界全体のシーズン生産量でコットンの推移は昨年対比-3%前後で、今後水が原因で世界の綿花が消滅することはおそらくないので、この数字自体は変動値であり、この先供給が先細るから値段がずっと上がり続けるという論に水不足が起因していると断定するのはちょっと無理がある。


この辺の根拠調べたかったらICACってとこ見てみたら良いよ。灌漑水で約400L、そこに染色浴比とか足せば概ねさっきの500L位って数字に蛇口を捻る系の水の使用量になるから。

ただ算数嫌いだとゴールは遠い。今までもシンプルに四則演算できない人と出会ったので、繊維業界はもしかしたら、算数苦手な人が多いのかもしれない。の、かもしれない。


とは言え、綿花値段は下がらんと思う、少なくとも直近では下げ材料がない。理由は円が弱すぎるのと、中東情勢から栽培に必要な肥料の高騰と、人件費の高騰がある。つまり、水だけじゃないし、なんなら水問題で上がったというにはけっこう弱い。


複合的な要素の中で少しだけ、現在入手しているルートの中で水問題があるのだろうから、当人が「やばいぞ」って思っちゃうのは理解できる。

見てくれる人が増えれば増えるほど過激な内容を出したくなる気持ちも、わかりま、すん。


業界の皆様が発信すること自体は歓迎できるけど、ちょっと誇張が行き過ぎるとせっかく信頼の日本製みたいな空気とかがさ、ほら、なんか、アレじゃん。

そこら辺はちゃんとしながらも、楽しくわっしょいやろうぜ。

ulcloworks

ultimate/究極の clothing/衣服を works/創造する ulcloworks

0コメント

  • 1000 / 1000