価値の表現。
先日僕の大好きなXで気になる投稿があったので、エアリプで姑息だが少し講釈を垂れた。本当に僕は性格が悪い。
カットソー生地の値段に関して、高級というのは単価が高いという理解のもとで話を進める。
某投稿は場合によるが厚い生地より薄い生地の方が高級だったりするとのことで、高級という定義がなんなのかがわからんので、一般的には高額だと捉えられるだろう。
で、薄い生地を作るには細くて長い繊維を使用するからこれが高級だと言う。これは正解。
「だから高い」というのは早計だと感じたので、少々長い投稿をした。
※時系列的に投稿は下から上にかけて新しいもの。
要約すると、細い糸は高いし生地になるまでの工程時間もかかるから重さ決済では高額になるけど、薄いから同じ重量でも厚い生地より圧倒的に長く生地が出来上がるので、メートル単価に割り返すと案外見やすい価格になったりするよってこと。
ここで綿糸の取引単価の話をしてもピンとこないかもしれないけど、高級綿糸とかだと普通に梱単価ウン十万円とかする銘柄もあるから、それだけ聞くととんでもねぇなって感じになる。
梱ってのは大体180kg(181.44kg)のこと。だから仮に100万/梱って言われても1キロあたりは¥5,512くらい。まぁ高いけど。
で¥5,512/kgの糸を編めるようになんやかんやして、編むのも糸が細ければ物理的に生地になるスピードも太いものより遅いので編み工賃がかかるから生機単価もそれなりに高くなる。
例えばその編み上がった生地の目付(g/m)が90g/mだったら。
仮に生機(編みおろした染色整理前の生地)と染め賃合計で¥10,000/kgのコストになったとして、90g/mの目付なら¥900/mコストになる。そこに薄地ならではの手前リスクや後発リスクに備えた歩積み入りマージン乗っけたとしてもせいぜい¥1,300/mとかの提示になるのが紳士協定より若干爪伸ばし単価ってイメージ。仮ね、仮の話。
原価厨湧くなよ。人が関わって動いてんだから利積みはいるからね。ぼったくってるとかそういうの無しね。そういう奴がおるから繊維業界儲からんのだぞ滅びろ。
同じ糸使って厚手の編み地作ったら当然重くなるわけで、目付が増えればkg単価が高ければ高いほど割返しが高くなる。
重量単価一緒で、1kgが10mになるものと、1mにしかならないものなら当然10倍のメートル単価になるってこと。規定マージン率とかある会社なら割合で利益乗るからコスト10倍なら単価あたりの利益もそれに準じて増える。
これにて厚地も高価というのがご理解いただけると思う。
もちろん薄手の生地でも高単価商品は存在する。先に書いた通り工程時間が厚地に比べるとはるかにかかる。
大昔超細番手の繊細な糸を先染めしたくて糸染め屋さんに依頼してたんだけど、途中から難色示すようになってきて。なんでかって聞いたら糸を紙管(コーン)から染める用のPP(プラスチックの穴空き管)に巻き替えるのに一本約1kg(0.9375~0.945kg)あたり8時間かかるから現場効率が悪いって言われた。
考えてみれば当然で、細い糸ってのは同じ重さでも太い糸に比べたら長い。さっきの生地の話と同じ。というわけで薄地というか、細番手は何かと時間がかかる。ハイゲージの編み機は高額だしメンテナンスも大変だしね。だからやっぱ高価なのは高価なんだよね。
ただ、なんかさ、原価が高いから高価だってのも芸がないなって。
しかも軽いからそれなりに落ち着くわけで。
だからさ、「これはウチの自信作だよ、ウチにしかできないからこの値段でも納得でしょ!」って言えるくらいのクオリティにしたいよね。っていうかそういう世界線で「そうかぁ!」ってなりたいじゃん。
あとはもう、対応とかそっちもそれなりの金額の商品使ってもらうならお値段以上のもん見せたりね。ただただ原価高だから高いってより、納得の高額にしたいよね。
細い糸は細くて長い繊維が高級だから薄地は高いってのは、つまらなくない?
もしそう言われて納得できるなら別にいいけどさ、「その値段納得できるわぁ」って理由がもっと他に、生地作る人たちにとってプラスに働く方の言い方あると思うんだよね。
そのほうがみんな楽しいよね。ファッション楽しむなら。
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