温度差。

画像が工場との電話になってしまっていることを先に謝りたい。申し訳ありません。


この記事で書こうと思ってた内容が、たまたま僕にとっては過去に工場様とのやりとりの中で多かった経験なので、絵を描き終えて書き出そうと思った時にFACTORYと書いたが、落ち着いて考えれば受け手も出し手も双方に言えることだったので、図らずも工場側だけがルーズだというような印象を与えてしまう絵を描いたことを謝罪したい。重ねて申し訳ありません。でも書き直すのめんどいのでこのままいかせてもらいます。ご容赦くださいませ。


さて、納期の話である。


納期とは依頼者が約束を守って初めて守られるものである。これは大前提だ。

依頼者側で「(依頼が)1日くらい遅れた程度でケツがズレるのはおかしい」と詰めてくる人もたまにいらっしゃるが、ケツをズラさないためにそのズレた1日を取り戻すエネルギーがどれほど大きいものか想像してみてほしい。


一方で、工場側でも、1日に対する考え方が緩いところがある。これも事実。たとえ依頼者側がしっかりと約束を守ったとしても、製造は手をつけだして初めて見える世界があるのでズレが起こることがある。それはわかる。でもそこを理解していてもその1日のズレで依頼者側の方も大きくエネルギーを使うことがある。


依頼者が一日遅れた場合、その日を皮切りに動き出す予定だった現場作業予定は一から組み直しである。その後のことも考えて並行で準備できている仕事があれば先にそちらに手をつけられるが、本来入るはずだった案件は、別案件で現場が動き出してしまうと一日だけズレて収まるわけじゃないのが工業の世界。

工場のサイズにもよるが、最悪の場合、一日すっぽり穴が空いて、工場を止めてしまう可能性もある。

タイムイズマネー。損失は月額固定費の日割りで考えるとそれなりのものになる。

工賃でこれを取り返すのは結構難しい。これは依頼者もだし、糸から製布、生機から染色、生地から縫製工場、全工程において言える。


一方で、生産が思ったようにいかず、またはちょっとした人災で工場出荷が一日遅れてしまうことなんてのもよくある。

服の場合は特に展示会サンプル。その一日のズレで撮影の段取りが大崩れして外部スタッフのスケジュールすり合わせからやり直しなんてなったら、彼らも日当仕事なので損失は大きい。この意味がわかると、出荷が一日遅れるっていう報告が前日夕方で良いわけがないというのは理解してもらえると思う。


ぶっちゃけ、一日くらいだったら、中間業者がいれば(またはそいつらの質にもよるが)、一日のズレなんてどうってことない。国内製造の大半に中間業務者がいると考えれば、糸なり生地なり縫製なり加工なり、一日二日、下手したら二週間くらのバッファは余裕であったりする。


実際僕自身、2ヶ月のズレを飲んだことがある。まぁこれは、許されたというよりは日々電話確認して「今やっている」を信じた結果、さすがに遅すぎると現場に出向いたら「今からやるところだから」ってせっせと糸を編み機にかけるところを見せられたわけだが。

依頼先と地域性、および人間性をみてデッドラインを後ろに引いておくことでお客様にご迷惑をおかけすることは回避できる。できるけど、これらが許容された結果、ルーズな工場も多くいるという印象は拭い去れない。


直接工場とやることで中間マージンを省ける的な流れがあった頃、おそらくこの『サバ』の読み方が分からずに事故った方々は多くいらっしゃったことだろう。

また、依頼の解像度が現場のテクニカルな表現と、依頼者のイマジカルな表現の齟齬も要因としてあったと思う。


いずれにしても、双方向でこの温度差を意識できるかどうかで、お仕事の質は変わってくる。

誤解がないように断っておくと、誰も誰かに迷惑かけてやろうと思ってるわけじゃない。はず。

ただそこは人間。忘れてたってことはある。日々忙しい僕らはキャパシティを越えると抜け漏れが起こる。それを感情に任せて怒号をあげたところで、その時の恐怖で支配することは後々関係性に歪みを生むだけ。怒っても納期は詰まらない。できることを探してできるように動くだけ。


最近はとにかくタイトな仕事が多い。だからこそ余計に、日々双方とのコミニュケーションを密に取り合うことで、互いの温度差を埋めておくと、案件進行に大きく役立つことになると、僕は思うよ。

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