繊維的付加価値1。

製造加工業における付加価値の考え方については過去に書いているので下記リンクをご参照いただければと思う。

付加価値という言葉の意味は上記リンクでも引用している通り。併せてwikiもリンクさせておいたので詳しくはそちらをご参照されたし。


今回は繊維の持っている機能性を"付加価値"として訴求していることに対するセルフ考察。いわゆる機能価値と言われたりするやつ。


化学繊維で吸水速乾とか、暑い時涼しいとか、寒い時あったかいとか色々ある。これらはほとんどの場合、繊維そのものというより、繊維が水分子の三態変化を促したときに発生する事象の応用だったりする。物理的強度に関しては分子結合的な領域なので、これは繊維そのものの機能と言える。


天然繊維でも、ウールは意外と夏がいいとか、麻は冬でもあったかいとかある。

天然繊維に関してはその原料によって使用されてきたシーズンイメージが強いため、対極季節に対するセールスが落ちる傾向がある中、その機能性を再発掘し啓蒙活動がそれぞれを得意とする産地やメーカーから行われている。


天然繊維そのものが持つ特性理解があれば、とりわけ季節性など意識しなくても、適宜機能を享受できる。温度や湿度調節に関しては、それぞれが自然界で生息していて、どの季節でも対応していることを考えれば、そりゃそうだよねってなる。だいたいは。

ただ普通は誰もそこまで考えて生きてないので、知らないことの方が多い。その知識差を利用して生まれるのが今回ここでいう付加価値になりうる。


ここで気をつけなければいけないのは、訴求の際、機能を提供している主語が『繊維そのもの』になると、じゃそれが入ってれば全部の服がそうなんだと思われてしまうところである。

繊維の機能を引き出すには、活きる使い方をされている必要がある。この使い方とは製糸や製布、及び服に使用される時の状態と、その服の形状など、繊維性能を十分に発揮できる状態になっているかどうか。

この繊維性能を発揮できる状態に仕上げていく過程に、作る側の付加価値をのせる余地があると思う。ただ使ってるとかじゃなくて、ちゃんと活きるように作っている、というところ。

極端な話をすると、ウールだからといって目の粗い隙間だらけの生地では暖かさを感じることはできない。そんな感じの「それじゃ意味ないじゃん」的なオリジナル生地は死ぬほど見てきた。もしかしたらもう死んでるのかもしれない。

「それじゃ意味ないじゃん」領域は機能を付加価値として訴求する場合においては本当に意味がないけれど、だからといってテキスタイルとして意味がないかというとそうでもない。それはその原材料でファッション文脈で使用する価値があると判断する人が存在したら、きちんと意味をなすので、機能的にはアレでも決して否定されるところではない。


今回はあくまで、機能性の知識差を利用して付加価値とする場合においての僕の主観考察である。意見反論は随時お受けしたい。議論を深めましょう。


シーズンイメージや産地イメージなどのイメージ価値に対しても色々と考察したいと思うので次回はその点について触れてみようと思う。気が向いたら。


とりあえず、ビール。

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