日本製じゃなくてもいいかもね。

以前からなんとなく顧客さんたちの口から「特に日本製にこだわってないよ」という話は聞いていた。

とはいえ国内背景がほとんどの僕にとっては日本で作った物を提供することが目下商売としては成立している。

ブランドにある程度認知度が伴ってファンがつくと、商品とブランドの価格バランスが取れていたら、産地とはほとんど問題にならない。


実は以前から生地の製造指導をさせていただいている中国の工場が作った生地が国内のアパレルに採用され受注に繋がった。

元々は国内のニッターさんで僕が作ってもらったもののレシピを丸々伝えて試作に当たってもらった、いわゆるリプロだ。下の動画を見て欲しい。

最初、その工場がリプロしてきた生地は柄こそ似ていたが、全く伸びがなく硬い生地だった。

中国の工場は元の日本の生地を見て、僕の説明を聞いたにも関わらず、「自分たちで考え得るこの生地になるような作り方をトライさせてくれ」と言ってきた。自分たちの分析力で再現できる自信があったようで、僕のアドバイスを一旦忘れて彼ら独自の製造方法で最初のサンプルを作ってきた。

しかし結果は全く違うものだった。それは本人たちも当然気が付いて、すぐに今度は僕の意見を取り入れた調整をして再試作に取りかかってくれた。

そして改良版が作られ、伸びも膨らみも改善し、元の日本製の生地よりもボリューム感とキックバック(生地を引っ張って戻る力)が良くなっていた。

その生地が今回とあるアパレルへ納品が決まったので、僕は心から嬉しい。


実はこの生地、日本製とそんなに値段は変わらない。

つまりお客さんはクオリティとコストのバランスが取れていたら、正直どの産地であろうと特に気にしないということではないか。

日本製だから高付加価値の時代はとっくに終わった。

日本製だから高付加価値であるならば、その価値に見合ったクオリティでなければならない。

その価値に見合ったクオリティとは技術がふんだんに盛り込まれてこれでもかと押し付けがましいものではいけない。

製造業は芸術家ではない。職人はもちろん技術の研鑽を積むべきだ。が、出来る事が売れる物とは限らない。出来る事が人に喜ばれる事かどうかは、相手のことを知らなければわからないのだ。

つまり相手を無視した高付加価値とはありえない。

国レベルでここまで産地にこだわりがなくなっている。

ということは地方産業などはなおさら「〇〇産」は、メーカーや購入者にとってはほとんど無関係ということを留意されたし。

もう当たり前すぎて言うのもどうかと思うが、きちんと顧客さんのことを考えて開発なり提案なりしていった方がいい。


この中国の工場は非常に研究熱心で欧州アパレルの仕事がメインなので素材に対して非常にハングリーに情報を求めている。

工場内も綺麗だしかなり規模デカイし、以前から問題になっている環境対応もきちんとしてるし、何より社員に対して手厚い。

そんな工場が僕なんかに製造のアドバイスを求めてくれるのは光栄だ。そして商売にちゃんと繋がったので正直ほっとしている笑

真摯に向かいあっている人たちと一緒に仕事ができて僕は幸せだ。

ulcloworks

ultimate/究極の clothing/衣服を works/創造する ulcloworks

0コメント

  • 1000 / 1000