神が細部に宿り切らなかった話。

水平分業がファッション業界の常である。
メリットとしては、各分野においてプロフェッショナル達がそれぞれの技術の粋をみせてくれる。
しかし、デメリットとしては取りまとめる業者がザルだった場合、最終製品としてチグハグな物が出来上がってしまうというリスクがある。


この事例は結果として購入してくれた方にとってネガティブな印象を与えている。
これが水平分業の歪みだ。

取りまとめる業者の知識レベルが一般消費者の手に渡った後に起こり得るデメリットまで意識出来ているかどうかで防げた問題である。

原料から紡出までの単糸で売りが完結する業者としてはカットソー向けであればそこに対する技術を盛り込める。
その先で双糸加工する業者からしたら、普段相手にしている業界が布帛だった場合、上撚の係数はカットソー向けの糸のそれとバランスが異なる。
ところがエンドユーザー向けにどのような素材に変わっていくかを承知していない場合、技術の詰めどころとしては、己の知る範囲の最高を詰め込んでくる。
その先のニッティング然り、染色加工然り。
一旦手前の加工業でズレてしまった価値観は流れの中で修正する事が難しい。
双糸加工の段階で布帛向けの加工としては最高の技術を詰め込まれたら、それなりの高い加工賃を払った上で、その後孕んでいる問題の有無に関わらず、原価として積み上げられてしまう。

その結果、冒頭のようなトラブルに発展してしまう。
購入者としては、その経緯はどうでもよくて、アフターの結果だけが全てでそのブランドに対する評価になってしまうのである。

そう考えると、やはりハンドリングしていく者の知識レベルは非常に高い次元で求められる。
とりあえず組み上げるだけでは顧客さんの満足を満たせないものである。

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