丸編み生地製造という職業にたどり着くまで-2-
和歌山工場から東京へ戻った僕は、土曜を利用して関東近郊にあった染工場へ染色の勉強をしに行った。
染工場は糸を染める糸染め工場と、生地を染める生地染め工場があるが、この時は生地染め工場へ行った。
(染工場にはこの後営業に昇格してから、トラブル等の解決のために何度も訪れることになる)
染工場とは、その名の通り、生地を染める工場である。
一言で染めると言っても素材は多種多様、色々な知識が必要である。
土曜を利用して何度か勉強に行って教えてもらえたことは非常に難しい化学の話もあった。
まずは染める工程の段取りを紹介していく。↓
まず、生地を染める依頼をした後にすぐする作業としてビーカー試験がある。
ビーカーとは、指定の素材を指定の色に染める前に理科の実験とかで使ったあの"ビーカー"で小さい試験布を染めて染料の配合を決めていく試験だ。
↑ビーカー(ネットから拾い画像)
その染工場は工場長がこの工程を全て担当されていたので、工場長に張り付いて色々教えてもらった。
演色性と言って、光の当たり方で色が違って見えることがあること、素材毎で合わせる染料の性質が違うことなど。
化学の世界だ、この工程で生地の風合いを作り出している人たちは単純にすごいと思った。
↑染色機(ネットから拾い画像)
実際現場に入って、染料の調合とか、芒硝(色の固着剤)の投入など作業を手伝いながら教えてもらった。
染めるって、色がある水に生地をなぶってたら染まると思ってた。
綿を染める時は反応染色と言って染料に対してPhを整えるソーダ灰を入れることで反応発色する。
この段階で生地に狙い通りの色が付いているかどうか判断する。
その後、残留染料等を洗い流す作業に入る。
脱水は横置きのどデカイ洗濯機みたいなヤツに生地を入れて遠心脱水。
その後、生地を開くスカッチャーを通して開反。(丸編み生地はその名の通り丸なので生地は元々筒状で反物にするには生地を裂く必要がある)
↑右が遠心脱水、左はスカッチャー(ネットから拾い画像)
そして濡れたまま仕上げ(セット)する場合もあるし、タンブラー乾燥させてセットすることもある。
このセットという工程では全長40mくらいある機械の中にガスバーナーがいっぱい付いてるセット機を通す。
この熱をかけることで生地の幅出しをしたり、伸び縮みを多少安定させたりする。
↑セット機(ネットから拾い画像)
こうやって書いてみると、どうってことはなさそうな工程だけど、実際やってみた僕はわかる。
とても大変です。暑いし。濡れてる生地重いし、夏とかやばい。
こうして、染色を実体験したことによって染工場の苦労がわかるようになったのである。
とりあえず生地の作り方が一通りわかったところで晴れて正社員に、まだなれなかった6月のことであった。(試用期間は3ヶ月)
続く
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