商魂。
関西の繊維猛者はすごい。
「交編率は?」とか「もうゾッキでええな?」とか「投入混率しかギャランティでけへんで」とかこれ昔関西繊維猛者に飲み屋で言われた焼酎を入れる時の話。
— ヤマモト ハルクニ (@HARUKUNI_Y) January 18, 2022
夜も、豪傑だ。
最近は原材料費の高騰がすごいし、原油高によって染めにかかわるコスト、準じて輸送コストも上昇し、値段は上昇の一途だ。下がる理由がない。
シンプルに、綿花相場は旧中央値から約倍だし、原油も倍以上になっている。吸収するにも、元々が薄利多売の世界だ、たかがしれているし、吸収する理由も見当たらない。
高騰してくると在庫は現金を圧迫するし、高額な商品は買い控えにより死に在庫になり、なかなか期先の玉を仕込むという気にはならないのが普通だ。
昨今の業界事情だ、実需を見込むという保証もない。
しかし年末に会った関西の繊維猛者はこう言った。
「売るもんなかったらお客さん困るやろ」
昨年末時点で、今日より相場は低かったとは言え、それでもコロナショックの底値からは3倍に近い値段に迫ろうとしていた頃、向こう半年先の契約までつけたという。
周囲がお客様に色々とヒアリングをしながら、紐付きでおっかなびっくり発注をしている最中、圧倒的物量を「ハハハ!博打や!」と豪快に笑い飛ばしながら発注しておられた。
そして現在、ほぼ一人勝ち状態で売り上げを伸ばしておられる。
考えてみれば当然で、周囲に在庫の備蓄がなければ、実需対応は在庫があるところにオーダーは集中する。
商品の差別化とかオリジナリティとか、そういう次元の話よりもっと手前の、まず普通にそれないと話にならないよねってレベルの商品。これらは平時はコモディティと呼ばれ、いかに安価で提供できるかが勝負の分かれ目になってくる。
ところが、今みたいに普通では考えられないくらい高値になっていると、需要減退を想定し在庫を買い控える。しかしそこは『まず普通にそれないと話にならないよねってレベル』の商品。いくら実需が細っていても、実需は実需で確実に存在する。そこへ周囲の競合他社が提供するものがないとくれば、いくら高値でも実需筋は選択肢がない、あるところから買わざるを得ない。
結果的に、「あいつに聞けばあるぞ」という話が横にひろがり、想定以上に注文がつく、という状態だ。そしてその時は「高いな」なんてネガティブな反応は起こらず、むしろ「売ってくれてありがとう」くらいの感情になる。むしろ持っていない会社に対して、(腹が張れない弱腰)という印象さえつけ、平時に戻ってもその時に得た信用から商売を有利に進めることができる。
凄まじい商魂だ。
これを維持するには仕入れも売りも広く、そして深くネットワークを持っておく必要がある。商いは小手先のテクニックではないなと、心から思った。
関西の繊維猛者は、見えないところで、今日も業界の下支えをしっかりと確実に「博打やけどな笑」と笑い飛ばしながら、飄々とやっている。かっこいいよね。
表立って目立つ人だけがヒーローじゃない。僕らは後ろからしっかりと業界を支えている誇りを胸に、来週もやっていこうではないか。
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