OEM独立は儲かるか。
本日、ulcloworks SADOBASEのクラウドファウンディングが終了します。
ここまでたくさんのご支援、応援、大変嬉しく、ぐっすり眠れないほど興奮しました。本当にありがとうございました。
このブログ公開後あと数時間はあると思われますので、最後の一押しでもしようか!など心の優しい方、いらっしゃいましたら受け付けておりますのでよければ下記リンクご覧いただければ幸いです。
さて、ここからは工場持ちの製造業者ということになるので、今までとは少しだけ毛色の違う業態として進んでいくわけで、ここまでの約6年間、中間業者としてOEMを生業にしてきた経験から、少しだけ独立して経験したことをつらつらと書いてみたい。
市場の景況は芳しくなく、中間OEMとしてやってきた方々も閉店される事案が増えてきた。もしかすると、これからは逆にやってたら仕事が増えるフェーズかもしれない。そういうことも視野に入れ、OEMとして独立開業を考えている人がいたら、少しは参考になるかもしれない。
先に断っておくが、会社員としてOEMをやれていて、お給料にさほど不満がないなら、欲を出して独立するのはおすすめしない。「まだサラリーマンやってんの?www」なんて、まじで言えないし、サラリーマンじゃなきゃこの稼業できないかもしれない。くらいに思っておいた方がいい。
僕自身、会社員から独立する準備期間に、多くの先輩経営者(ご自身で独立された)様にアドバイスを求めた。そして独立する儀を問うた。
背中を押してくれる方々はたくさんいて、条件は整ったように思えたが、僕自身『やる意味』をどこかで心から探していた。もちろん給与面も一個のモチベーションになる。経営者になればある程度工面の効く範囲で個人の財布は肥やすことができる。それが目的ではない場合、一回冷静になって想像してみてほしい、日々のOEMとしての扱われ方を。
苦しい思いをしてなんとか収めた商品が、さまざまな要因から着払い返品。不良品でもないのに難癖をつけられ値引き。取引をやめるぞという脅しに近い価格交渉。そんな奴らを相手にしなければいいだけの話だが、そんな奴らが取引先の場合は本当に独立してまでそいつらに忠誠を誓えるだけの金額が担保されているのだろうか。
お客様もいい人たちばかりで、心からその人たちのためにお仕事をしたいと思えたなら、その辺に関してはなんら問題ない。僕は幸運にも、この儀を立てることができた。
次にくる問題はキャッシュフロー。
洋服の製造を受託して、そのまま製造会社へ丸投げできれば、締め支払いのタイミングを合わせることで手のこりの金額計算は容易である。
その差分粗利をしっかりと確保しておけば、会社は回るというのは誰にでもわかることだ。
ところが仕事はいつだって思い通りにいくとは限らない。ちょっとした期日のズレで、仕入れと売りの予定が狂うことなんてザラにある。仕入れは出荷日起算、売りは着日起算など月末納品が多ければ多いほど、この1日のズレで売り買いの出入りは大きく景色が違ってくる。
独立する算段を立てている聡明な方なら、これくらいの計算はできているだろうが、取引額が多ければ多いほど、準備資金はそれを越す用意が必要になる。つまり、製造業は小資本では難しい。
独立前に何度も収支計画表作っては直して「いける!」と思ったけど、売上や粗利はそれなりに沿うんだけど、現預金に関してはほんと、よっぽどゴツく抜けるか、仕事やめない限り残らない。手厚くフォローして価値感じてもらっても値切られることはあるから、市場の選択はとても大事。
— ヤマモト ハルクニ (@HARUKUNI_Y) January 25, 2022
昨今の繊維業界を取り巻く事情から、ぶっちゃけ金融機関の目は非常に手厳しい。いくら受注生産で在庫リスクがないといっても、その相手先がしっかりとした支払い体制があるかどうかまで見られる。売りがたっても、入金がなければ終わるから。
まして、僕のように原料から組み立てをやる場合、オーダー仕掛かりから諸々仕入れが始まり、売りが立って入金までのサイクルは約半年。しかも頑張ってオーダー貰えばもらうほど、先に出ていくお金は増え、売りがたって入金があっても粗利を軽く食ってしまうほど次の仕入れが大きいことなんて日常茶飯事だ。
そこへさらに未入金リスクがある。与信面の調査は非常に大事で、契約書などをしっかりと準備できない人が多い繊維製造業は、入り口を甘くするとこのトラップにハマる。
また新規狙いで昨今の非アパレルからの参入組を攻める時、特に気をつけたいのが相手から交わしてくる超相手有利な文字の小さく膨大に書かれている契約書だ。よく読もう。まじで。印紙割印付きで交わす時、またはDXの波に乗って電子署名でも、まじでちゃんと読もう。大体こっちが不利だ。家電製品買っても大して説明書読まないで挙動のおかしさを製品のせいにする人は特に注意が必要だ。大体書いてある。
ここら辺くらいまでをクリアにして独立開業する覚悟を決めたらあとは簡単だ。
開業資金を持って定款書いて法務局に事業者登記して晴れて社長だ。一国の主人だ。営業畑出身の方がほとんどだろう、税務、労務、法務関係の士業は基本的に顧問をつけることをおすすめする。弥生会計の入力なんて、やったことない人が多い。そこにエネルギーを使うのも必要な時はあるが、まずは事業を回転させるのが先だ。頼れるものは頼ろう。最近は結構ネットで簡単にできるやつもあるらしい。便利な世の中になった。
独立前にネットや経験者から色々情報を仕入れることだろう。話を聞くのは大事だ。でも、なんとなく、話を聞いただけだとできそうな気がするもんだ。そしてまぁ、できる。
できるけど、思ってたより楽ではない、むしろ辛い場面が多い。でもそれを飲み込むほどの喜びがあればなんのことはない。楽しんで繊維製造業者として生きていくことができる。
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