伝言ゲーム。

某商品が繊維表記にない繊維を商品名にしたとして界隈で盛り上がっているが、当事者意識があるかどうか、構造上の問題もあるのではないかなど、繊維ポリス的憶測を書いてみる。


事実は知る由もない(いずれ耳には入るかもしれないが)ので、あくまで憶測だ。


今回の件、どう考えても繊維プロの仕業とは思えないので、炎上も含めて認知を取ったのであれば、それはそれでまんまと乗ってしまったとしか言いようのない状態で少し辛い。が、そこまで深く考えないとしたら、おそらくは製造業者の認識の問題という部分が大きいのではないかと思う。


いずれにせよ『企画会社』と呼ばれるODM/OEMが製造手配しているであろうが、今回の論点は、その『企画会社』が、どうやって作ったか、という部分に当ててみたいと思う。


話はとんで今朝のこと、弊社スタッフが普段はあまりタッチしない方法の技術を必要として、平素懇意にしている副資材手配会社の担当者様とお話をしていた。彼らは十数年来の仲なので、やり取りのその先に工場直で生産の打ち合わせをすることがあっても、決済は必ず懇意の副資材手配会社経由となる。

どうやら副資材手配会社のご担当も、この案件には知識がないらしく、弊社と工場様で直接の打ち合わせを希望、弊社スタッフは特に問題ないので工場様と直接お話をしていた。ことが進むにつれ、双方向に手配をしあう資材が必要になることがわかってくると、取りまとめてどちらがその資材の調達を行うか?という話になり、先方負担(代金に乗じて請求可能と伝えてある)が難しいようであれば、弊社手配で委託加工依頼で決着がつきそうなところで、件の副資材手配会社のご担当から「今回はちょっと無理ですね・・・」と、なぜか案件自体が不可能だと言ってきた。

状況を整理すると、工場様は「資材が手配してもらえたら加工はできます」と、弊社は「資材を手配するのでお願いします」と。そして「決済だけは間の副資材手配会社の方から回してください」という、やや遠回りではあるが、非常にシンプルな業界内あるある構造である。

ところが、決済先の会社から「案件無理」と言われた、その内実を詰めていくと、どうもその副資材手配会社からその工場様の間にもう二社ほど『商社』と言われる人たちが挟まるらしく、工場様側からは一次請求先へ「資材手配の必要があるが、お客様負担なので」と明確に伝えていても、そこから二次請求先へ「資材手配の負担をしてもらう」に変わり、三次請求先(弊社の決済先)へ「資材の負担は無理だから今回はなし」となったそうだ。




(´・_・`)



んなことこっちは一言も言ってねーから。





以前から中間業者に関しては、その存在が決済だけだとしても、コネクトするパイプを持ち合わせている点から一方的な不要論に対しては否定的な立場をとっている。これは今も変わらない。が、できることができなくなってしまうような伝言ゲームさえまともにできない人たちに関しては、正直言って、ほんと存在を否定するわけじゃないけど、迷惑だ。

ただし、弊社もその非常に珍しい工程を常日頃から案件として抱えているわけではないので、わざわざ口座を開いていただく手間を考えれば、スポットでお話させていただくのは全く問題ないし、最初に相談した副資材手配会社様への筋でもある。

最終的に工場様と弊社側からしっかりと間の方々に説明して、丸くおさまった。


で、話が戻るけど、冒頭の繊維表記のない繊維名が商品名になっていたアレに関しては、この構造があったのかもしれないという憶測が働く。

『〇〇のように見える』は、繊維に付加価値を安易にもたらさんとするテクニックでもある。この『〇〇のように見える』テクニックに関しては別でブログを書こうと思っているが、今回でいえばその商品訴求が二者三者の又聞きで、結果的に『〇〇だ』になってしまった可能性もなくはない。

こういった中間業者多重構造の歪みがある可能性は否定できない。


中間業者に関しては、知識の蓄積と適宜数量バランスをとって工場様と繋がっているところも含めて必要な場面がある。まして昨今のブランド乱立ムーブメントは、ある種中間業者にとっては完全なる好機である。これはブランド乱立に対する否定でも批判でも皮肉でもなく、客観的事実だ。また、息が長く続く可能性のあるブランドが次の世に生まれること自体、歓迎している空気もある。

そしてアンテナを張り巡らせてその好機を物にする商業中心型中間業者と、そこから工場様への間に仲の良い何でも屋〜専門知識を持った中間業者などが介在しているケースは珍しいことではない。

立ち位置的に、いつもコスト構造の悪になりやすいが、一方でこのような伝言ゲームミスが起こる可能性も秘めている。


コスト構造も然りだが、お客様が形にしたいことを人為的なズレで無しにしてしまったり、誤認情報で商品訴求してしまうのは、間に挟まる者として無くしていきたいし、せっかく挟まるなら、より良い方向へご案内できる存在でありたいと強く思うのであった。

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