2023.05.11 11:55物性。歴戦の繊維戦士であれば、もはや物性とはなんぞの説明も不要かと思う。物性とは読んで字のごとく、物の性質のことで、生地検査などで評価される生地の強さなどのこと。最近は問屋さんリスク生地のほとんどが全ての品番で生地検査である程度物性評価を取得しているケースが多い。昔は生地検査で物性試験なんて使用するアパレルメーカー(または取りまとめるOEM繊維商社)側の領域だったからそんなものを生地屋が用意する風習自体...
2023.04.04 10:20お値段未満。求められている素材感と、それを表現するために必要な手段と、結果的に導き出されるコストと、とはいえ売りたい商品値段と、みたいなパズルゲームの落とし所が、最近はめっきり乖離しているように感じる。高いものにはそれなりの理由がある。高級素材を使って手間をかけた分だけ値段は上がる。それが高額だから数量的に奥行きがない場合、少量生産せざるを得ないとなればなおさら、少量だからロスなども増えて割増になる傾向がある...
2022.11.02 08:25したいこと、できること、求められること。技術を披露してその素晴らしさを知ってもらうのは簡単ではない。テキスタイルの現場において、日々「なんか新しい、見たことないものないの?」という市場からの要望は絶えない。絶えないものの、世の中はすでにモノに溢れていて、革新的な技術を伴った『見たことない生地』ってのは、合わせ技系の全部盛りも含めて、おそらくもうほとんど出尽くしてしまった感があるのではないだろうか。または、色々な面でやりすぎて使えるモノで...
2022.07.28 09:25不良か、良さか。最初からトラブルは起こると思っておけば、基本的な構えができる。準備はしっかりしておくのが好ましい。繊維業界の当たり前は、一般購入者の方々にとって当たり前ではない。僕ら繊維戦士にとっての常識的な範囲の理解を求めるのは難しいことなのかもしれない。物理的に許されて然るべき事象も、知らない人からすると『不良品』というクレームになりうるものである。そういう物理的不可避なデメリットを商品購入後にクレームとして...
2022.03.16 03:16編み組織の定義。丸編み生地製造の仕事をしてそれなりの年数が経った。積み重ねるくらいしか取り柄のない僕でも、積み重なったものが少しずつ誰かの役に立っているという現実があるということは、喜ばしく思う日々である。その積み重ねを頼っていただく例として、「丸編み生地を教えて欲しい」というものがある。これは従事者にとって、お客様と現場の橋渡しに非常に重要な知識であるからして、向学心がある方々は大歓迎であり、業界の製造精度向上...
2022.03.15 03:12意味を考える。普段多くの方々とお話させていただくと、たくさんの視点から物事を考えるきっかけになるのでとても勉強になる。物事を考えるきっかけというのは、勢いとノリだけで割と最近まで生きてきてしまった僕にとって非常に有効な『振り返って反省し未来に活かす』という面を与えてくれた。何を隠そう、専門学校在学中にロックスターになるために適当に選んだ会社で一発内定取るために自らを「天才」と言い放った直後、複合機に生地をホッチ...
2021.12.22 11:27悩んでも変わらないこと。中間で生産の立ち位置にいると、色々なことが起こる。ものづくりにトラブルはつきものだ。中間業における自己起因で起こりうるトラブルを無くす方向の努力が効くのは、受けた仕事に物理的に無理(コストや納期などの見積もりが甘くないかなども含む)がなかったか?作ってくれる方に依頼するときの指示に不備(途中細かな確認の漏れがないかなども含む)がなかったか?の2点くらいに集約される。それ以外はほとんどの場合、自分の...
2021.12.16 08:47仕組みを知る。僭越ながら丸編みの鬼と言われることもあるが、僕なんかはまだまだ未熟者で鬼どころか雑魚である。マリオで言えば、クリボーだ、いやクリボーに失礼か。現場は知識の宝庫で、針の動き一つ、具体的にどうしてそれが作用して、どういうものを形成していくのか、知ってるつもりでも曖昧なことは非常に多い。知らなくても生きていく上でなんら問題はないし、知ってたからなんだってことも多くあるけれども、知っていればできたこと、し...
2021.12.06 12:39想像力。ものごとは意外とシンプルである。場合によっては世の中が便利になればなるほど、シンプルであるものが複雑化され、かえって不便に感じることも増えるような気がしている。先日のブラックフライデーなる、消費者にとって非常にありがたいようなお祭りは、配送のトラブルという不都合をうみ、生活必需品をその配送に頼っていた層には、一定数の多大な迷惑をもたらしたところもある。いきなり脱線したが、少し、いやだいぶ前から、生...
2021.09.01 11:39チューニング。僕が常々、繊維製造はフィジカルとメンタルの切り離しが難しいと言う理由に、機械設定がある。小ロット多品種が当たり前になってしまった今の世において、対応できないと商機を逃す要因になる。が、商業サイドでは受けられても、工業サイドではすぐに対応するのは難しい。なぜならアイテムによって適宜マシンチューニングが必要になるからである。生地製造において、ロットがある程度ないと難しいのは、大昔に書いた糸や編み織り、...