丸編み生地製造の勉強-フライス編-
編み地の種類は大分類するとシングルとダブルの二種類と前回の天竺編で書いた↓
今回はダブルの基本、ゴム編みのフライスだ。
フライスというとどのようなアイテムが思い浮かぶだろうか?
昔のいわゆる肌着はほとんどがこの編み地だった。
今はあまりこの素材メインで服になっているものは多くなく、Tシャツの襟やパーカやスウェットの袖口、裾などに使用されている場合が多い。
ゴム編みという名の通り、非常に伸縮性がある。
しかしポリウレタンなどを挿入する編み方でないと、割とヨレやすく単体で服にした場合は裾などがベロベロになってしまう。
それなのになぜ襟や裾の別布として採用されているかというと、「伸ばし付」することで元々伸ばして付けるので多少ヨレても元に戻るようにしているのである。
首がヨレヨレのTシャツをきている人がいたら、よほどの経年劣化か、縫製の伸ばし付がうまくできていないかのどちらかだろう。
天竺同様に度目を詰めたり甘くしたりすることはできるが、ダブルの編機はシングルの編機ほど機械の構造上調整の幅が少ないので、度詰にするにはハイゲージにする、度甘にするにはローゲージにするなどの工夫が必要である。
元々が肌着を編むための機械であるので、生地幅が狭いものが多い。
昔の肌着は脇シームレスが基本だったので、生地幅=身幅という企画を満たすために小さい口径の編機が充実した。
サイズピッチにしたがって1寸(約3cm)刻みで同じゲージの編機を持っているニッターさんが多い。
例えば上の表にある14寸19ゲージで30/1をかけると生地幅は大体45W(ダブル、両耳がわの状態)で目付は約200g/mくらいの生地が出来上がる。
このようなベースグレードを見つけて、それぞれの機械に変えた場合どのくらいの生地になるか想像しながら生産してく。
最近ではこの付属扱いになってしまうフライスまで気を使わない企画が多いし、有り生地だとベース素材の裏毛や天竺のスワッチに必ずと言っていいほどフライスが横にちょこんと付いているので迷うこともないだろう。
しかし有名DC系のブランド名がデザイナーの名前、みたいな人たちは結構フライスも選んだりするのでモノづくりのイメージと素材に対する知識の引き出しがちゃんとある人なんだと関心する。
最近のデザイナーさんによく「この素材にあうリブを提案してもらえますか?」って言われるが、リブっていうより、フライスなのかテレコなのかバチっと言える方だと作りたい物がちゃんとイメージ出来てるように見えるしプロっぽいと僕は思う。この辺は経験値に比例するので、最初は「この素材にあうリブ有りますか?」でいいと思うけど、フライスなのか共地なのか、はたまた別の素材なのかをたくさん生地をみて自分の引き出しにしていって欲しいと願うのである。
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