商いと情け。
燃料費高騰により大幅値上げ断行された加工場様、値上げ前は常時繁忙期の様相で大変混み合っていた印象だったが、値上げ後はパッタリオーダーが止まったようでそれはそれで予想してたけれど想定以上の目減りに少しお困りの様子。出す側の気持ちもわかるからなんとも言えないけど、なかなか厳しい。
— ヤマモト ハルクニ (@HARUKUNI_Y) March 23, 2023
とのことで、世界情勢的に仕方のないことではあるが、燃料費高騰は染色加工場の運営費を直撃している。
そもそも全体的な値上げがある中で、じわじわ単価交渉をいただいていたので、都度承諾をしてやってきた。そして今年に入って、更なる値上げ幅は過去に例を見ないほどの上げ幅交渉になった。これ自体、誰を責めるでもないのでこちらとしては飲まざるをえない。というよりは、存続のためには必要な判断だと思う。
しかし、事情が事情とはいえ、誰もが気前よく値上げに応じるわけではない。やはり難色を示す先は多いそうだ。
値上げ交渉時では、加工場の方も「無理に値段合わせて受けるくらいなら客先が減った方がまだマシ」くらいの強気であったが、時間とともに仕事量の目減りに若干弱気になっている様子。
僕らのように、OEMでオーダーベースの別注生地作成するメーカーの場合、提案ごとに見積もり提出のタイミングがあるので、生地単価の上下は、結論で言えば製品単価でどれだけ影響があるかなので、激しい拒絶感というのは起こりにくい。
一方、生地問屋さんのように、生地を在庫して販売する方々の場合、商品単価は生地そのものの値段なので、加工賃上昇による生地単価の値上げは避けられない。提案の際に生地の値段ではじかれることが多々ある世界では、単純に値上げというのは成約状況にかなり影響する。同一品番を定番使用しているメーカー側にしてみれば、生地値が上がれば商品上代をあげていく必要が出てくる。
業界川上の方は「アパレル繊維製品はもっと値上げして小売りするべき」という論調が強い印象。それぞれの事情を考えればそうあるべきだと。
もちろん賛同したい気持ちも強い。心情的には。ただご本人たちが実際に店頭で購入する衣料品単価はどうだろうか。ファッションに興味がないなどの理由もあるだろうが、安価な物を購入する方が消費者目線でお財布には圧倒的に優しい。
中間業者がもっと利益を削ればいい(または間に挟まらなければいい)などの声もなくはないかもしれないが、現状、生産の仕組み上中間業者がいなくなることは難しい。
生産現場はフィジカルも絡むので相当エモい(使い方合ってる?)世界だから、値上げによる客先の離脱が起こると離脱先との関係は悪化しやすい。今までこれだけ努力してサポートしてきたのに見放すなんて!!!といった具合の感情論は、この20年近くで散々見てきたが、その負のエネルギーをそのまま相手先にぶつけて打開策が講じられ、難を逃れたケースは一度も見たことがない。
一方で、離脱した客先的には、経済合理性を考えて使用背景を変えていくのは商売の常であるから、そこに感情論が入る余地はない。お情けで共倒れしてしまっては救うどころか足元を掬われてしまう。
ただ、将来その加工場が生き残っていて、時代が変わりまたお取り組みしましょうねって歩み寄りを見せてきた時『あん時見限ったよなお前』という記憶が残る限り、出戻りも許されないのだが。
値上げ自体は、不可抗力な面もある。申し訳ないと思いながらも断行している方々も多い中、拒絶反応を示されると感情的になりやすい問題もある。
作ってくれる人がいるから物が作れることを忘れずに、大きな気持ちで受け止めてほしいという思いはもちろんあるが、それだけではやはり、作り手側にも『甘え』が残ってしまうのも否めない。
僕自身、過去には何度も「なんでこんなもんがこんなすんねん、高いな、安せぇ」と言われ続けた経験がある。ムカつくし、やっちまいそうnなttlみhつぁ
相手があって商売できるということもあるので、今までが安すぎた可能性は否定できないにせよ、その相場感に慣れてしまった市場があるのは事実であり、無理して付き合って心中せよとは言わないが、上がったら上がったなりに値段に見合ったサービスも期待されていることを忘れずに、商品の提供内容、または付き合う相手をもう一度考えてみるのも悪くないタイミングなのかもしれないと思った春。
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