胸を借りる。

長い間安定した環境というのは人々にとって安心を与えてきた一方で、ゆっくりとしたペースでの衰退は平行で起きており、気がつけばもうどうしたら良いのかわからないという状態にまでなっていることがある。

国内繊維業界もまた、ガチャマン隆盛以降、バブルからのゆっくりとした衰退から、10年に一度のパニックでガクンガクンとその惰性を正されようとしてもなお、やり方を変えられずに苦労している人々がいる。


やり方を変えるというのは確かに難しいことだ。慣れ親しんだ正攻法を否定されるのは、その時代を築いた人たちからすると、人生そのものを否定されたと感じてしまうのも無理はない。


しかし時代は変わる。


トレンドの多様化によって従来重宝されてきた大型設備も、小回りがきかずにいきなり無用の長物とされる場面が出てきたり、大量生産で賄われてきた経済もいきなり悪者にされたりと、人のために役立っていたはずだった者たちが、角度を変えていきなり否定されるような風潮もある。これは僕個人的には少しいただけない流れだと思いつつ、受け入れられない人たちもまたそれなりに凝り固まった部分もあるので、なんとも言い難い空気感が常に漂っている。


今、今年度から取り掛かっている基地プロジェクトで地元の佐渡に来ているのだが、一部で若者たちが里帰りして地元を盛り上げようと様々な取り組みをしていて、なんとも心強い一方で、外敵因子と捉え歓迎の意思をみせず攻撃的な状態になっているところも無いとは言い切れない。

どうしても長い間、環境に慣れてしまった人々に対して新しいことを受け入れろというのは、一方的ではうまくいかない。ここでも同じ心理状況というのが垣間見える。


温故知新、隆盛を支えた経験のある人たちに対して、時代の変化に追いつけない状態を否定するのではなく、その力を借りつつ仲間になっていただく方にエネルギーを使っていきたいと思っているところである。


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