下請けイジメは本当にあるのか。

まぁ、あるといえばあるし、ないといえばない。

これはもう、厄介な世界なので、それぞれに配慮してこういう言い方になる。

定性的にはOKでも定量的にはNGみたいな、そんな感じの部分があると考えている。


もちろん多くの取引が、きちんとした納得の元進んでいるのが前提である。

だから以下に述べる僕の主観は決して依頼側が悪いとか受け側が悪いとか、そういう意味を含んだものでないということを先に断っておく。ただの、現場から上がってきた僕の目から見た、一個人の主観に過ぎない。ただの雑談、独り言。


製造サプライチェーンにおける力関係は、古の政治力によってある程度、ほぼ固定されている。これはいまさら言ったところで、メインプレイヤー経営世代がまだまだ『忖度』で仕事を得ていた時代の色濃い名残なので、世代交代しない限りは覆らない世界もある。

もちろんこの仕組みで持ちつ持たれつ良い時もあった。逆に、この仕組みを築けないと、仕事が継続的に得られない部分もあった。いや、ある。これはもしかしたら、人間関係なので世代に限った話ではないかもしれない。

現に僕は、人間関係ばかりではないが、人間関係を尊重した取引をしている。これは忖度だろうか。


製造現場に入ると、とにかく「作る」ことがメインの仕事になる。

だから、経営兼、営業兼、生産管理兼、現場作業員兼、経理兼、兼兼兼、零細工業の経営者は複数兼務するのは当たり前で、機械を触りながら電話で注文を受け、頭で思い描ける範囲の生産キャパや採算性で丼勘定とも頭が切れるとも言えないようなジャッジを下し、おそらくイケるだろうと受注し、夜事務所に戻ってメールなりファックスなりで正式に注文書と向き合うも、その注文書には期日も金額も明記されていないケースが多く、とりあえずその注文書にある商品を作るべく、現場に戻って作業にかかるのだ。

この一連の流れの中で、法律を意識して冷静に対処できるプレイングマネージャーがいるだろうか。


また、このような零細工業はおそらくほとんどが、メーカー直での元請けではない。しかし昨今は産元商社にばかり頼っていても市況は先細ると考え出した工業は、鋭意メーカーへ直接提案を始めているところもある。

ところがやはりプレイングマネージャー、現場に戻れば工業効率の良さを求める。そして商業の面倒さに耐えかねて商売を諦めるケースもある。

もしくは、自ら営業をかけて受注したのにもかかわらず、自分が提示した条件が結果的に自分の首を締めていることに気づいた時、緩和案を提示するも依頼主から断られた時、ほとんどの工業系営業は相手先に対して遺恨を残す。そして冷静に考えれば自業自得の案件でも、誰かを敵にしなければ消化できない感情が常につきまとう。


僕もそうだった。体力を駆使して商品を物理的に産む活動をしている現場作業員にとって、書面上の約束事より、その費やした時間や労力を守ってくれる相手に対して好意を抱く。これは、経験しなくても概ね想像できる部分だと思う。

逆に、そういう運動量に対して、書面上で交わされた約束によってその成果が報われなかった時、相手に対して苦手意識や敵対意識をもつ。その成果物が、客先にとって物足りないものでも、結果はダメでも、努力はしたよねっていう、それこそ定性的に守って欲しいしそれが当たり前でしょっていう感情が生まれる。


いや、本当につまらん話なんだけど、冷静に考えて、お客さんが納得できない商品に対して、頑張ったから許してねっていうのは通じないのが、通じない場合がある。感情的に。

そこに「いじめ」と感じるか、そうじゃないかの差があるようにも感じられるのである。

0コメント

  • 1000 / 1000